村木氏は最後に、社会福祉法人・社会福祉協議会・NPO・民生委員などの地域社会資源を活性化させ、生活保護しかなくなる手前のセーフティ・ネットを強化することの必要性について述べた。

 筆者は「これが会議?」という違和感を覚えながら、傍聴していた。そこでは、何か打ち合わせや意見交換が行われるわけではない。演壇があり、村木氏をはじめとする厚生労働省の人々が、一方的に方針を話す。シンポジウム会場のように演壇に向かって設置された席に座っている各地からの参加者たちは、ただ聴くのみである。活発な質疑応答が行われるわけでもなく、ただ、厚生労働省の人々が話し、参加者たちは聴くのである。

 地方分権をより活性化することの必要性・重要性が共通認識となりつつある現在、「会議」のスタイルがこれでよいのだろうか? たとえば結婚式場のように円卓があり、各地から集まった人々が円卓を囲んで、互いの地域についての情報交換や交流を行ったり、厚生労働省の人々と共に問題解決のためのワークショップを行うスタイルではどうなのだろうか? そんなことを考えながら、筆者も、会場の後部で、ただ傍聴していた。

 この会議で厚生労働省の人々が話すことがらは、次年度の社会援護政策の実運用に関する、厚生労働省としての見解であり、方針である。その中には、生活保護政策も含まれている。いったい、生活保護政策は、どのように変化しようとしているのだろうか?

社会的弱者に対する
政策のほとんどを含む課長会議

2013年3月11日に開催された、「社会・援護局関係主管課長会議」の資料は、厚生労働省サイトからダウンロードできる。印刷された紙の冊子では、厚さ4cmほどになる大量の資料だ

 今回の課長会議の議題は、

(1)平成25年度における社会福祉行政の運営及び関係予算(案)
(2)平成24年度における援護行政の運営及び関係予算(案)

 である。「社会福祉行政」には、

・災害被災者救助
・生活保護
・地域福祉
・福祉基盤の整備

 が含まれている。ちなみに「援護行政」は、第二次世界大戦によって戦死・抑留・戦傷病などの被害を受けた人々や遺族に対する生活保障・遺骨収集などを意味している。中国残留孤児に対する生活支援も、この「援護行政」に含まれている。障害者福祉も、社会・援護局の守備範囲内にあるが、今回の課長会議では取り扱われなかった。高齢者福祉は、老健局が対象としている。