ハイブリッド車と言えば、日本ではとかくトヨタ「プリウス」vsホンダ「インサイト」の一騎打ちだけに注目が集まりがちだが、世界最大のハイブリッド車市場・アメリカの競争状況はもっとダイナミックで複雑だ。すでに多くのメーカーからハイブリッド車が発売されているのに加えて、2009年~2011年にかけては、さらに多くの新型ハイブリッド車が投入される予定だ。総力戦の火ぶたはすでに切って落とされている。北米トヨタ幹部に「プリウス」の今後の戦略を聞くとともに、海の向こうで繰り広げられているハイブリッド車戦争の行方を探る。(ジャーナリスト 桃田健史)

プリウス
トヨタが今年5月に日米で発売する新型「プリウス」の受注予約はいまのところ絶好調。プリウスはこれまでに、世界44カ国で総計100万台以上販売されたが、そのうちの70%が北米市場向け。新型プリウスの成否の鍵も、米国市場が握っているといっても過言ではない。

 アメリカでは(日本で思われているほど)ハイブリッド車は売れていない。

 ハイブリッド車の専門ウエブサイト「hybirdcar.com」が、全米ハイブリッド車販売統計を公開している。2009年4月現在での最新データ、2009年2月分は販売量の多い順で、以下の通りだ。

 トヨタ「プリウス」7232台、トヨタ「カムリHEV」2080台、レクサス「RX400h」1502台、ホンダ「シビックHEV」 1362 台、フォード「エスケープHEV」1172台、トヨタ「ハイランダーHEV」956台、日産「アルティマHEV」463 台、GM「シボレータホHEV」315台、GM「シボレーマリブHEV」197台、GM「サターンVUE HEV」188台、GM「GMCユーコンHEV」177台、GM「キャデラックエスカレードHEV」139台、フォード「マーキュリーマリナーHEV」122台、GM「シボレーシルバラード」47台、GM「サターンアローラHEV」23台、レクサス「GS450h」22台、レクサス「LS600h」22台。

 以上合計で、16,019台だった(HEV:Hybrid Electric Vehicle)。

 つまり、いまだにハイブリッド車はアメリカ全需の中で2%弱の小さな存在なのだ。

 なお、この一覧にない北米発売中の現行ハイブリッド車は、クライスラー「クライスラーアスペンHEV」、クライスラー「ダッジデュランゴHEV」、マツダ「トリビュートHEV」などだが、販売量は少量だ。