「レジ袋有料化とか面倒くさいよな。タダになんないの?」

 このひと言に対しては、さすがの私も苦笑せずにはいられませんでした。

なぜ老害化が進むのか、その無意識の行動が誰かに迷惑をかけているかも

 レジの店員さんと高齢客をめぐるトラブルと言えば、「高齢者が店員さんのミスを許せず激怒する」といったものが挙げられます。しかしながら、今回のケースは、おもむきが少々異なります。

スーパーのレジ待ちに「横入り」するおじさんは、内心何を考えているのか?出典:医学博士・平松類氏の著書『「老害の人」にならないコツ』(アスコム)

 こちらは、店員さんを叱っているわけでも、クレームを言っているわけでもありません。駐車券の処理やレジ袋の購入という、客としてごく自然の行為をしているだけのことです。
 
 問題なのは、列に割り込み、並んでいるほかのお客さんたちを待たせてしまっていること――この一点に尽きます。

 もちろん、この高齢男性(Uさんとします)に、悪意はありません。列に割り込んでいるという意識は、間違いなくないでしょう。レジ袋ではなく、普通に売られている商品を買い足す場合であれば、Uさんもしっかり列に並び直すはずです。

 しかし、駐車券の処理やレジ袋の買い足しは、新たな買い物とは認識していません。

 歳を重ねると、どうしても有効視野(目で見えているなかで情報処理を有効に行える範囲)が狭くなるので、レジにずらっと並ぶ行列が目に入っていない可能性もあります。

 となれば、周りに迷惑をかけているということには、いつまでたっても気づかないでしょう。言わずもがな、店員さんやほかのお客さんとの間に、「社会の壁」ができてしまっていることも。