ホンダはグアナファト州セラヤ市2014年から年産20万台規模、投資額8億ドル(約800億円)で次期「フィット」やその派生車のMPV(マルチ・パーバス・ヴィークル)を生産する。またマツダも2013年中にグアナファト州サマランカ市で、「デミオ」等の工場を稼働させる予定だ。

 この他、アメリカ向けの生産拠点としては、トヨタ、ホンダがカナダを活用している。そこに、生産コストの安いメキシコを連携させることで、NAFTA(北米自由貿易協定)の枠内で、アメリカ向けの完成車・及び自動車部品の物流が活性化していくのだ。

 こうした「総合的見地」では、アメリカで日本車を売ることと、アメリカが日本からの完成車輸入に課する税率とが、直結しなくなる。

 この他、メキシコからの南米向け輸出も「総合的見地」に絡んでくる。マツダとホンダに関しては、当初計画ではメキシコ工場はブラジル向け輸出拠点としても考慮されていた。だが、ブラジル政府は2012年3月、メキシコからの輸入車急増に伴い、FTA締結内容の一部修正を実施。2012~2014年まで輸入総額に上限を持たせた。2015年以降はその上限を撤廃するとしているが、新たなる修正が行われない保障はない。そのため、日本車メーカー各社はブラジル市場戦略を大幅に見直すこととなった。

 さらに南米では、TPP参加国にチリとペルーが含まれており、同じく南米のブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ、ベネゼエラで形成する自由貿易協定のメルコスール(南米南部共同市場)と、今後どのように連携をしていくのかが注目される。日本車メーカーは南米大陸全体を「次世代の成長市場」と見ているのだ。

 では次に、豊田章男氏が指摘した「米側の根拠のない誤解」への対応について、見ていきたい。

実需アップに結びつかない
カタチだけの規制緩和

 今回のTPP事前交渉での日米合意発表に連携し、太田昭宏・国土交通大臣は同発表と同日、「輸入自動車特別取扱制度(PHP)の年間販売予定上限台数の引き上げ」(PDFはこちら)を発表した。