いまや御三家が
「蹴られる」ことも

 今から10年前の2014年、渋幕の偏差値*は男女とも73、渋渋は男子68、女子69でした。これは、中学受験校として上位クラスではありますが、開成(76)、麻布中学校・麻布高等学校(73)、武蔵高等学校中学校(71)といったいわゆる御三家、桜蔭(74)、雙葉中学校・高等学校(72)、女子学院中学校・高等学校(72)といった女子御三家には及びませんでした。

 それが5年前の2019年になると、渋幕の偏差値*は男女とも78、渋渋は男女とも73に。いずれも偏差値をおよそ5ポイント上げ、人気の高まりを見せています。

 とはいえ、同年の開成の偏差値*は78、桜蔭は77で、御三家と完全に並ぶとまでは言い切れないところがありました。この時点では、御三家と渋幕もしくは渋渋とに受かれば、御三家に進学するのが、まだまだ一般的でした。

 ところが、今、かつての中学受験では絶対に「蹴られる」ことなどなかった御三家が、「蹴られ」て、渋幕・渋渋に進学する人が出てきています。聖光学院、豊島岡女子など、ほかにも御三家以外の進学校が台頭し、偏差値上位圏に多くの学校が存在するようになりました。

 ただし、この結果は、決して御三家の劣化を意味するものではありません。御三家の質は依然として高いのですが、渋幕・渋渋はそれと肩を並べる、あるいはそれをしのぐまでに成長したということなのです。

 その背景には何があるのでしょうか。