前回も述べたように、地域ごとに電力会社が分断され、地域を越えた競争も調整も低調であった日本の電力システムを変えていくためには、公共的な利益にかなった送配電システムをできるだけ広域に運用する必要がある。電力システム改革で発送電の分離を進め、広域系統機関を設置するのは、こうした方向に進めていくためである。

 ところで、電力システム改革を論じる際、しばしば電力の質という議論が出てくる。停電をできるだけ少なくし、電気の周波数の変動をできるだけ減らした安定的な電力を提供する──これが電力の質の意味である。

 日本の電力業界の主張は、日本の電力の質が非常に高いということだ。こうした高品質の電力が日本の製造業にも役に立っている。たしかに、頻繁に電圧や周波数が変動するような電力では、精巧な部品などを製造するメーカーは困ってしまうだろう。

 ただ、こうした話を欧州などの専門家にすると、厳しい批判の声が返ってくる。曰く「原発で安定的な電力供給を確保しているから、そうした品質の話ができるのだ。再生可能エネルギーの割合が極端に低い日本だからこそできる議論である。日本が今後再生可能エネルギーの割合を増やしていけば、地域的に分断されている電力システムでは、質の高い電力を提供できるものではない」と。

 このメッセージに込められているのは、元来不安定な電源である再生可能エネルギーを積極的に取り込んでも、全体として安定的な電力の質を確保することは可能だということである。そのための発送電分離であるし、電力ネットワークの広域化なのである。