成功した時は「運が良かった」
失敗した時は「自分の力不足」と捉えよ

 以前このコラムでも書きましたが、人間の本質は「自己中」のため、生き方の勉強をせず正しい姿勢が身についていない経営者ほど、失敗の原因を周囲に求めたり、責任を転嫁したりしがちです。こんな経営者が率いる会社からは優秀な部下ほど逃げ出します。

 松下幸之助さんもジム・コリンズと同じ事を言っています。「成功は運がよかったから。失敗は自分に力がなかったから。そう考えて経営をやってきた」(『松翁論語』)。

 成功した時はおごらず運が良かったと思い、失敗した時は謙虚に自分の至らなさを反省する姿勢が経営者には求められるのですが、失敗で立ち直れなくなる経営者は逆のことをしがちです。

 松下幸之助さんは、こんなことも言っています。「七転び八起き」ということわざは、失敗を繰り返した人を慰めることわざとしてはいいけれど、「一度転んで気がつかなければ、七度転んでも同じこと。一度で気の付く人間になりたい」(『道をひらく』)。

 失敗したら何かをつかまないといけない。つかむためには、自分のどこが足りないのかを考えないと、何もつかめない。そうでない人は七度も転んでしまうというわけです。それでは八回目に起きることができても、また転んでしまうでしょう。