ポイントとなる「ギャップ」
井上ひさしさんから学ぶ

 今回は、ここまでの連載中にちらちらと小出しにしていた話題、「ネタのギャップ」について深掘りしていきましょう。

 解説するギャップは、大きな話から順に、まずこう分かれます。「使うシーンとのギャップ」「話の内容とのギャップ」「話し方とのギャップ」「組み合わせる単語のイメージのギャップ」。ポイントとなるキーワードは「マジメー笑い」なわけですがその感覚をわかっていただくために、まずは、井上ひさしさんの、僕が大好きな言葉を紹介します。はいどうぞ。

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★=石黒のマーキングです。

『ゆれる自戒』 井上ひさし

 むずかしいことをやさしく
 やさしいことをふかく
 ふかいことをゆかいに
★ゆかいなことをまじめに  
★まじめなことをだらしなく
 だらしないことをまっすぐに
 まっすぐなことをひかえめに
 ひかえめなことをわくわくと
 わくわくすることをさりげなく
 さりげないことをはっきりと 書くこと

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 どうですか。こんなマニアックな連載を読んでいただいているあなたなら、ぐっと心のヒダヒダに刺さってきやしませんですか? 僕は子どもの頃からこう考えて生きてきたし仕事もいつも意識をその方向に向けていたので、数年前に知ったときはもう我が意を得たりと共感しまくりでした。

 なかでも特に、今回の話で伝えたいことが凝縮されているのが、★の部分。このフレーズを噛みしめつつ以下の解説を読み進めていただければ。