公的年金シミュレーターとは、厚生労働省が提供している、パソコンやスマートフォンで将来の年金額を試算できるツールだ。2022年4月に運用が開始され、実際に利用者が試算を行った回数は今年9月10日時点で500万回超だという。多くの人が利用している最大の理由は、ずばり、操作が簡単であることだろう。

 公的年金シミュレーターを初めて使った時、入力画面においてかなりの情報をそぎ落としている点に驚いた。年金制度は複雑で、試算結果に正確性を担保しようとするなら入力項目は当然多くなるが、あえてそれをせずに「簡易計算」にこだわった作りになっている。厚生労働省という国の機関のツールとしては、大胆な試みだ。率直に言うと、役所っぽくないのだ。

 さらに、画面上のスライドバーを動かすだけで、働き方の変化に応じた年金額の変化が一目で分かる。この仕組みは秀逸だ。試算時に入力した個人情報は記録、保存されないので安心して利用することができる。

 どんな試算ができるかさっそく見てみよう。

1分で年金額が分かる?
「公的年金シミュレーター」の使い方

 最初に生年月日を入力し、次の画面で「働き方・暮らし方」を入力する。

 例えば、「学生・働いていない」期間は、「20~22歳まで」、「会社員・公務員」の期間は「23~59歳まで」、「年収」は700万円と入力し「試算する」ボタンを押すと、試算結果が出る。

公的年金シミュレーター出所:厚生労働省「公的年金シミュレーター」
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 65歳から受給予定の年金額は、214万円。入力する情報が少ないから、試算結果まですんなりたどり着ける。ものの1分だ。そして、年金額のグラフが素敵。考えてみると、これまでの年金情報は文字ばかりで視覚的に分かりやすいものはなかったので新鮮に感じる。

 ねんきん定期便に掲載の「公的年金シミュレーター二次元コード」をスマホで読み取ると、生年月日を入力するだけで将来の年金見込み額が表示されるので、ぜひお試しを。