年金にかかる税金・社会保険料も試算されるから
「手取り額」の目安も分かる

 私がこのツールを使ってみて最も驚いたのは、年金の手取り額の試算ができること。実際には「税・社会保険料額の試算」なので、手取り額が表示されるわけではない。しかし、額面年金額から税金と社会保険料を差し引くと、手取り額なので、実質「手取り額」の概算額を知ることできるのだ。

 これを作った人は、私と同じ「手取り計算好き」なのだろうか。というよりも、シミュレーターを使う人がどんなことを知りたいのかを考えるうちに「年金にかかる税金や社会保険料はどのくらいか、気になるはず」と試算に加えたのではないかと推測する。

 国民健康保険料と介護保険料は、住んでいる自治体によって料率が異なるので、新宿区を例に取り、概算額を試算できるようにしている。目安額が分かるだけでも生活設計が立てやすくなるので活用したい。

 そのほかにパートで働く人が「パート収入の壁」を越えて、社会保険に加入したら、65歳からの年金額はいくら増えるのかという試算もできる。今年10月からは、社会保険の適用拡大が一段と進み、パート先の従業員要件が101人以上から51人以上に改正される。パートタイマーの人も社会保険に加入したら、いくら年金額が増えるのか試算してみよう。
 
 パートで年収を300万円も400万円も得るケースはほぼなく、多くの場合、年収130万~150万円くらいで試算することになる。すると年金額は1カ月あたり1~2万円の増額という試算結果になる。

なんだ、これっぽっちか、と思うかもしれないが、働けなくなった時の月1~2万円はありがたいものだ。年金生活において、月2万円の支出カットが難しいのは想像できるだろう。年金額が増えていると、支出カットはしなくても済む。