大手就職情報サイトに掲載されている、新幹線の保守作業をしているJRの子会社や軌道会社などの求人情報を見てみると、若手社員の年収は300万〜400万円程度だ。在職者や退職者のクチコミを見ると、「給料が安くて子どもができたら食べていけない」「将来に希望を抱けない」など待遇面への不満を綴っている人もかなりいるのだ。

 無理もない。SMBCコンシューマーファイナンスが定期的に実施している「20代の金銭感覚についての意識調査」によれば、20代の1000名に「結婚しようと思える世帯年収額」を聞いたところ、最も多かったのは「年収600万円」で56.1%だった。

 つまり、JRの子会社や協力会社の若手社員らも「この給料じゃ結婚できねえよな」「もっといい条件の転職ないかな」と迷いを抱えながら日々、新幹線の保守作業を行っているということだ。パートナーと人生設計を真剣に考えるような若者であればあるほど、この世界から去っていくのは致し方がない。

 もちろん、JRの下請けという安定感から「ローンの審査がおりやすい」とか「基本給は安いけれどボーナスが5カ月分なのでそれを目標に頑張れる」などの待遇に満足をしている声もあるので、家庭を築く若手社員もいるだろう。しかし、そのような人々でさえも、子どもの成長につれて、転職を検討するようになる。その大きな理由が「深夜作業」だ。