ということで、現場ではずいぶん前から「人手が足りません」「技術が継承されません」という悲鳴が上がっていたのだが、「お客様のため」を合言葉にド根性頼みの保守作業が進められていたのである。それがここにきて、いよいよ耐え切れなくなってどんどんボロが出てきているというワケだ。このままいけば「最悪」のケースも覚悟しておかなければいけないだろう。

 という話をすると、「悲観的なことを言うな!確かに鉄道の保守作業は人手不足だと聞くが、日本が誇るロボットやAIなど先端技術で乗り切れる!」とかなんとかお叱りを受けるかも知れない。日本は「技術があればなんでもできる」というほど、技術信仰が強いが、残念ながらこればっかりは無理だ。

 確かに、新幹線に限らず鉄道の保守作業のロボット化は進んでいる。例えば6月27日、JR西日本は線路上の設備の塗装や倒れた樹木の伐採などを行う人型ロボットを導入すると発表した。これで3割の人員を減らすことができるという。

 ただ、残念ながら今のロボットはまだ人が操作をするものにすぎない。ロボットを点検するのも人間だし、ロボットを保守作業の現場まで車両に乗せて運搬するのも人間だ。しかも、樹木の伐採くらいならばいいが、安全運行に関わる精密な作業などをした場合、最終的にはやはり人間が目視でチェックをしないといけない。