無人ロボットが自動で現場に行って精密な作業をして、その結果もAIを搭載したロボットがチェックして以上終了というようなレベルまでいけば「ロボットで人手不足を解決」と言えるだろう。だが、今のところはまだそこまでいっていない。多少は人員を減らすことができるが、「たくさんの作業員が必要」という状況はそこまで劇的に変わっていないのである。

 それが伺えるのが日本政府の対応だ。ご存じのように日本は近年、「日本人の若者が低賃金重労働で敬遠しているような仕事は、外国人労働者にやらせる」という方針を続けてきたが、それがいよいよ「鉄道」にまで拡大されたのだ(国土交通省「鉄道分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」)。

 3月29日、岸田政権は「鉄道分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」を閣議決定した。

 この方針によれば、鉄道需要やそれに伴う各施設の保守量は今後も継続、拡大するにも関わらず「若手の採用が困難」となってきており、5年後の令和10年度には、1万8400人程度の人手不足が生じると推計されているので、この分野にも外国人労働者をバンバン入れていこうじゃないかというワケだ。

 ただ、この政策に、筆者は強く反対をする。これまで本連載で繰り返し主張してきたが、「日本人の若者が嫌がるような低賃金重労働」を外国人にやらせても嫌がられるだけで必ずトラブルが起きるものだ。