だから筆者は、外国人だロボットだという前に、まず新幹線の保守作業員の賃金や待遇を改善させるべきだと思っている。深夜ではなく昼間にしっかり保守作業をして、多重請負構造の最下層にいる若い技術者たちが、将来に希望が抱ける程度の賃金に上げていくのだ。

 そこで新幹線が終日運休をしたりしてもいいではないか。我々は他国から見れば「異常」というほどの新幹線の便利さに依存し過ぎている。仕事で急いで目的地に到着しなければいけないのなら早く出発すればいい。定時運行や本数の多さなどを達成するため、「作業員の賃金・待遇」や「安全」を犠牲にするなど本末転倒ではないか。

 この国は人口が毎年、55万人減っている。人が減るのだから、インフラもコンパクトにしていかないと道理に合わない。道理を無視して、現場に「無理」を強いるので、ブラック労働や事故・トラブルが増えていくのだ。

 これからの日本は、人口増時代に広げすぎたインフラを、どうやって畳んでいくのかという「インフラじまい」が問われているのではないか。

(ノンフィクションライター 窪田順生)

停電、運休、連結分離はまだ序の口…「新幹線」を待ち受ける“超重大インシデントのXデー”