国語で言えば、入試問題はひとりの作者さんが書いた文章の中の一部分だけを切り取って出題します。そうすると、その切り取られた部分に書かれている内容で問題を作るので、文章全体を読んだうえでの答えと一致しない可能性がある。

 それに、作者さんが言外にプロット(構想)しているようなことで、作品に描き切れてないようなこともあるはずです。そうすると、ある部分を切り取ったときに作者さんが意図していたものと違うことが答えになる可能性があるんです。

 ですから、SAPIXではできるだけ長めに切り取る。ただ、プリントに入る長さのものを1回分の授業でやらなくてはならないので、さすがに全文ではありませんが、できるだけ長く入れて授業でやり切る。SAPIXのテストでは伝統的に読ませたいもの、あともうひとつは最近の作者さんがお書きになったものを極力使うようにしています。

――そうなんですね。今は140文字(※X(旧Twitter)の文字数)の文化の中で育っているようなものなので、長文を読む力を付けるのはいいことですよね。

 実は名門校の国語の授業は1冊全部を読ませるところも多いです。時間をかけて隅から隅まで読むことを大切にしているということですね。