「社交中毒」――。

 これは、アリアナ・ハフィングトンについてよく用いられる形容詞だ。ハフィングトンは、アメリカの「インターネット新聞」として数少ない成功を収めている「ハフィングトン・ポスト」の共同創設者。テレビや新聞が広告収入の減少に喘ぐ中、先頃1500万ドルの第3ラウンドの資金調達に成功し、今や飛ぶ鳥も落とす勢いで勢力を拡大するインターネットメディアの仕掛け人である。

 ハフィングトンの経歴は賑やかだ。ギリシャ生まれの58歳。イギリスのオックスフォード大学で教育を受けた後、アメリカに移住した。その間、作家、コメンテーター、億万長者の妻(後に離婚)、2003年のカリフォルニア州知事リコール選挙の際の立候補者、リベラルな政治活動家などなど、公私ともにソサエティーと政治のステップを着実に上昇してきた凄腕の女性である。

 ハフィングトン・ポストの創設は、2005年。元AOLで重役を務めたケネス・レーラーが共に創設に関わり、もともとは保守系政治サイトとして力を振るっていた「ドラッジ・レポート」の対抗サイトとして登場したものだった。創設間もない頃に運営資金500万ドルを提供したのは、何とソフトバンクの投資部門ソフトバンク・キャピタルである。

 同社の最大の特徴は、社交界ネットワークの活用だ。ハリウッドのエンターテインメント界、ワシントンの政治界、ニューヨークのメディア界を自在に行き来するハフィングトン自身の“社交力”を売り物に、独自の匂いを持つインターネット新聞に仕立て上げてきた。

 ハフィングトンの知り合いの“セレブ”が政治関連のブログを寄稿するという謳い文句で集められたのは、俳優のウォーレン・ビーティー、ダイアン・キートン、プロデューサーのデヴィッド・ゲフィン、著名なテレビ・アンカー、ウォルター・クロンカイトやビル・メイヤー、弁護士ヴァーノン・ジョーダンなど。

 ピカピカのセレブのブログはさすがに長続きしなかったようだが、それでも、選挙活動中のバラク・オバマが、ライト牧師との関係について最初にこのサイトでコメントしたり、大企業の経営者や元政府高官らがビジネスや政治について寄稿したりなどの話題性で読者数をのばしてきた。

 現在、ひと月あたりのユニーク・ビジター数は490万人で、これは1年前と比べて3倍の伸び。時価総額は1億ドルとも2億ドルとも試算されている。