今後、中古住宅情報網は整備される見込み。
玉石混交の今は、お宝情報発掘の可能性がある。


今年に入り、がぜん活気づいている中古住宅市場。中でも、手頃な価格で質のいい物件は早い者勝ちの状況だ。そんなお宝中古物件はどうやって見つければいいのか。「そのためには、古い常識にとらわれず、選ぶ眼を養うことが大切」という不動産コンサルタントの長嶋修氏に、アタリ物件を手に入れるポイントを聞いた。

数多くの物件を見て“選球眼”を養う

長嶋 修氏不動産コンサルタント
長嶋 修氏(ながしま・おさむ)
ホームインスペクションのリーディング企業であるさくら事務所創業者・現会長。著書に『マイホームはこうして選びなさい』(ダイヤモンド社)、『「マイホームの常識」にだまされるな!』(朝日新聞出版)などがある。

──安くて良質なお宝中古は誰にでも見つけられるものですか。

 中古住宅の品質は千差万別ですが、実際の価格は築年数を基準にして決まるのが一般的。つまり、古ければ安いということになります。そうした物件で質のいいお宝中古は、探せばけっこうあります。ただ、見つけるためには自分で建物の見極めが一定程度できること、また場合に応じて専門家の力を借りるといった手間が必要です。

 中古マンションの場合、壁に厚めの名刺がスポッと入るようなヒビ割れ、エフロレッセンス(白華)があるかどうか、郵便ポスト周りや自転車・ゴミ置き場などが整理整頓されているかをチェックするだけでも、かなりふるい落とせます。まずは数多くの物件を見て“選球眼”を養うことが大切。最終的にホームインスペクション(住宅診断)を受ければ、安心して購入できるでしょう。

──築年数でいうと何年くらいが狙い目でしょうか。

 マンションの場合、一般に価格の下落が緩やかになる築15~20年の物件にお買い得感があるといえます。また、最近は築30年以上の取引のウエイトも高まっています。というのも、マンションが数多く造られた70年代の物件が出始めているからです。

──その築年数だと新耐震基準が義務付けられた1981年以前の物件ですよね。構造的に大丈夫でしょうか。

「旧耐震物件は危険」というのは、あくまで傾向論です。適切な修繕がなされずボロボロの物件も多い一方、まったく問題のない物件もたくさんあります。