麻生太郎氏が自民党総裁選に勝利し、麻生政権が誕生した。私はこの連載で、総理・総裁への就任は麻生さんにとって「茨の道」と書いてきた。今日は、来るべき総選挙後、自民党、公明党、民主党が獲得した議席数によってどのような行動を取るかを通じて、麻生さんの「茨の道」を考えてみたいと思う。

ケース1:
自民+公明で3分の2の議席確保(現状維持)

 自民の大勝利である。小沢代表は辞任し、野党が参院で徹底抗戦を行った理論的根拠とでも言うべき「直近の民意は野党」の根拠が失われる。

 参院での民主支配はなにも変わらないはずだ。しかし、民主はこれまで小沢さんの下でギリギリの緊張感を持って「対立軸路線」をやってきていた。選挙に負けて小沢さんが辞めるとガクッとくる可能性がある。民主が分裂して、野党が参院で過半数割れすれば「ねじれ国会」は解消する。

 自民にとっては、これまでの苦労が報われる最高のシナリオだ。ただ、残念なことは、今度の総選挙でこのケースは起こりそうにないことだ。

ケース2:
自民過半数確保、ただし公明を入れても3分の2に達しない

 このケースの場合、自民が過半数を守りながらも議席自体は減らす。逆に民主は、議席自体は増やすことになる。しかし、政権交代が起こせなかったので、小沢代表は公約通り辞任するだろう。また、「直近の民意は野党」との主張の根拠も失われる。

 しかし、参院の野党支配はなにも変わらないのだ。確かに、民主には「直近の民意」はない。しかし、今年の通常国会のようにスキャンダルや役所の杜撰な行政が明らかになったら、「悪いものは悪い」のだ。野党は遠慮なく国会を止めるだろう。麻生さんの失言も心配だ。

 結局、野党の抵抗はこれまでと変わらず、参院で法案審議はことごとく止まる。そして、自民は衆院での再議決権を失っているので、政権運営は立ちいかなくなる。そこで、自民は民主との大連立を模索することになる。民主も、小沢さんの次は岡田さんとか穏健な代表だろうから、自民との連立協議に応じるだろう。