コンサルの存在意義って?何に役立つのか

 最後に、コンサルタントが役に立つ理由を二つ紹介する。ポジショントークだと思ってもらって結構。筆者が思う、コンサルタントの存在意義を述べたい。

(1)フォロー役
 例えば、英語学習をしている人は、1日1時間でも学習を続けることが大事だと分かっている。しかし人間、コツコツ真面目に継続するのが最も難しい。つまり、英語学習の方法を知らないのではなく、続けられないのが問題なのだ。

 その話と同じで、天才的なコンサルタントを除けば、コンサルが提案する方向性や改善策は、内部の人が考えたものとさほど変わらない。もっと言ってしまえば、内部の人が考える施策のほうが実務を知っている分、優れているだろう。

 しかし、問題になるのは実行力だ。そこで、外部のコンサルを雇って、施策を実行するまでしつこくフォローしてもらう。さらに、コンサルとともにプロジェクトを組むと途中でやめられないし、強引にでも施策が進む。

 あるいは、考えついた施策は同じでも、あえて「コンサルからの提案」とすることで内部を説得しやすくなる効果がある。コンサルを悪者にして進める、コンサルから社内の抵抗勢力を説得してもらう、などだ。

(2)専門知識
 内部の人間が想像もしなかったアイデア、専門的な知見を与えることもコンサルの存在意義だ。

 筆者は某企業の社長と週に1回、食事をしながら雑談するのが「コンサルティング」になっている仕事があった。最近の事件から社会風俗やゴシップ、そしてビジネスや専門領域であるサプライチェーンまで話題は多岐にわたる。するとその社長は「あんた、えらい色々と知っとんなあ」と返しながら、数十分に1回「ということは、ウチでいうと、こういうビジネスに応用できるな」とつぶやき、秘書にメモを取らせて「誰々に、これを検討させて」と命じている。

 なるほど、私は壁打ちの役回りなのだ。壁打ちの相手は、その社長がいつも付き合っている人間ではなく、なるべく遠い存在がいい。社長の本業は不動産だったが、私はサプライチェーン。全く違う分野の知識をありがたがってもらった。

 中小企業のよろず相談を担うコンサルがいる一方で、もっとストレートに専門知識が求められるケースもある。クライアントのニーズは細分化していて、コンサルタントも専門知識の積み上げに余念がない。税務、営業、生産、サービス、カスタマーサポートなどなど……。専門領域に関しては年月をかけてスキルを磨き続けている。

 はたまた、企業においてコンサルタントが執行役員の代わりを担っているケースもある。企業側は、コンサルのスキルを的確に聞き出し、自らのマニュアルに盛り込めば効率的だ。その意味で、クライアントもコンサルを適切に活用する態度が望まれる。

 最後に、コンサル倒産の話に戻ると、不要な事業者は自然に淘汰されるものだ。コンサルタントは役に立たないと誤解される風潮があるものの、結局は使いこなせばいいだけの話だ。筆者も、使い倒してもらえるようなコンサルでいたいと思う。

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