(5)要介護状態の親の障害者控除
親が要介護状態なら、障害者控除の対象になるかもしれない。これもあまり知られておらず、使えるはずの控除を使っていない人が多数いる。
障害者に準ずるほど日常生活に介護が必要であれば、障害者控除の対象になり、「特別障害者控除(40万円)」と「障害者控除(27万円)」がある。特筆すべきは、認定基準が自治体により異なることだ。
例えば筆者が住む東京都大田区では、「特別障害者に準ずる者」として「要介護3、4、5に認定されており、かつ『日常生活自立度』が一定ランクとみなされる者」と定義されている。「障害者に準ずる者」は、要介護1、2のみならず要支援も対象となっている(いずれもランク基準の別表がある)。
ところが他の自治体では、要支援は障害者控除の認定基準外のところも少なくない。まずは自治体のホームページの介護保険課のページで認定基準を確かめるか、電話で問い合わせてみるといいだろう。
障害者控除を受ける場合は、介護保険の要介護認定を受けているだけでは要件を満たさず、当人が居住の自治体から「障害者控除対象者認定」を受ける必要がある。とはいっても、手続きは難しいものではなく、申請書に必要事項を記入して自治体に提出し、結果を待つだけだ。
扶養している親が障害者控除の対象なら
「ダブル控除」が受けられる
障害者控除は、本人または配偶者、扶養している親族が受けられる。扶養している要介護状態の親が障害者控除の対象と認定されれば、扶養者として障害者控除と扶養控除をダブルで受けることができるのだ。
下表は控除額の一覧表だ。特別障害者を同居で扶養していると、同居の特別障害者控除は75万円、これに同居老親(70歳以上)扶養控除の58万円が足されるので、合わせて133万円もの所得控除を受けられる。控除としては大きい金額なので、該当する人は控除漏れのないようにしたい。
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最後に確定申告書の作成方法についてアドバイスを。子どもの扶養控除、親の扶養控除など、年齢によって控除額が異なるものはいくつもある。手書きで確定申告書を作成すると、思い違いで控除額の記入ミスが発生しやすい。
ミスを防ぐには、国税庁ホームページにある「確定申告書等作成コーナー」を利用し、パソコンで入力するのがいい。子や親の生年月日を入力するとシステムで控除額が自動的に出てくるのでお勧めだ。