フィリピン 2013年5月27日

18歳未満の雇用は一切禁止!
フィリピンの未成年者が年齢を偽って稼ぐワケ

ハイスクール卒業後2年間、雇用の機会を奪う政府の方針は?

 フィリピンでは、たとえ殺人事件でも告訴する人間がいなければ犯罪が成立しない。これはアメリカの法律に則ったもののようだが、犯罪者の家族が、被害者の家族を抱きこんで、殺人事件を闇に葬ってしまうことさえ可能なのだ。

 しかしながらマイナーの人身売買となると、検事は告訴がなくても起訴できるそうだ。

 年齢を偽るマイナーの子は自ら望んで働いているのだから、雇用主や客を告訴するはずがない。しかし検事は独自の判断で起訴することが可能で、「相手が合意したから行為に及んだ」という言い訳は用をなさないのだ。

 マイナーを雇うことは、花街の接客係ばかりではなく、レストランやメイドでさえ禁止されている。通常は問題にならないだろうが、マイナー本人が雇用主から勤務態度などを注意され、逆恨みをして警察に駆け込んだりしたら、チャイルドアビューズ(幼児虐待)ということで逮捕されてしまう。

 また第三者が知って密告すると雇用主が逮捕され、マイナー自身も職を失うことになる。マイナー本人は稼ぎたいから当たり前に年齢を偽るが、フィリピンで人を雇う場合、成人であることを念入りに調べてからでないととんでもない爆弾を抱え込むことになる。

 そこで疑問に思うのだが、フィリピンは貧しい貧しいといいながら、ハイスクールを卒業しても大学へ進学しない70%程度の若者の就労機会を、2年間も剥奪するのが正しい政策なのだろうか。16歳ともなれば肉体的には十分大人で、大概の肉体労働は可能だ。

 幼稚園や小学生程度の子どもが働かされているとならともかく、日本でさえ中学を卒業しても18歳まで働いてはいけないとしたら大問題となるだろう。

 私はてっきり、18歳未満の未成年者が花街で接客を行なうことを禁止していると勘違いしていたのだが、すべての職種で就労の機会を奪われているということに義憤を覚える。それがめぐりめぐって、外国人を思いがけない罪に陥れていることにもなっているのだ。

 政治家はマイナーの保護を何か勘違いしているのではないだろうか。若者の雇用の機会を奪い、年齢を偽って働かざるを得ないようにし、挙句の果てに雇用主を処罰するなど、無用な犯罪を誘発しているとしか思えないのだ。

フィリピーナは底抜けに明るく、天性のホスピタリティを発揮して、日本人男性をとりこにする(本文とは関係ありません)【撮影/志賀和民】
アンヘレスのフィールドストリートには100軒をこえるゴーゴークラブが林立するが、時にはゴーゴーガールが通りに出てきて、客寄せを行なう(本文とは関係ありません)【撮影/志賀和民】

(文・撮影/志賀和民)

著者紹介:志賀和民(シガカズタミ)
東京出身。東北大学大学院修了後、日揮(株)入社。シンガポールにをかわきりに海外勤務を歴任。1989年日揮関連会社社長に就任しフィリピンに移住。2007年4月PASCO(サロン・デ・パスコ)取締役。
 

 

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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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