ライフネット生命・岩瀬大輔氏の試み

 ライフネット生命保険の副社長である岩瀬大輔氏が新しい実験を始める。昨年、彼が文藝春秋社から文春新書の一冊として出版した『生命保険のカラクリ』の全文を3月1日から4月15日までの期間、無料でダウンロードできるようにする。

 彼のより大きな実験であるネット専業の生命保険会社の立ち上げは、ライフネット生命の業績数字を見る限り順調に推移している。同社は、先般、画期的な新商品である「就業不能保険」の発売を発表した。今度の実験は、岩瀬氏にとって規模は小さいが、本の書き手・売り手・読み手の何れにとっては、なかなか大きな意味のある実験だろう。

 文藝春秋社のサイトのこの本を紹介するページに行ってダウンロードのボタンを押すと、性別、年代を答えるだけで、本一冊の全文が簡単にPDFファイルでダウンロードできる(サイトのURLはこちら

 筆者もやってみたが、ダウンロードは簡単だった。ホームページの指示に従ってダウンロードして保存すると、PDFファイルは2113KBほどの大きさで、ダウンロードフォルダーにZipフォルダに入ってやって来た。

 本の全ページがほぼそのままPDFファイルになっていて、PCの画面できれいに読める。縦書きの本を縦にスクロールするのは少しとまどうし、新書本の体裁の方が読みやすいが、これは慣れの問題だ。一冊読み通すのに何ら不自由はないと申し上げておこう。

 普通のPDFファイルなので、閲覧はもちろん、紙に印刷するのも自由だし、ファイルをコピーするのも何の問題も無くできる。コピーの回数を制限するような仕掛けは何もない。著作権の考え方からすると、少し心が痛むが、知人にファイルを送るのも自由だ。そして、今回の著者は、そうした利用をむしろ歓迎しているのだろう。

 この本は、通常の生命保険の本には書かれていてないことが書いてあるいい本だ。「岩瀬大輔氏の『生命保険のカラクリ』全文をお送りします。特に、p130ページに載っている保険種類別に使い分けられている死亡表のデータは必見です」などとメールに書いて、ファイルを添付して関係者に送ることが出来るのは便利だ。