中国 2013年6月11日

「反日」の煽りを食ったのは日系企業だけじゃない!
“親日”中国人企業家たちの試練とは? 【第3回】

日本から半製品を輸入し、自社ブランドとして中国国内販売

 林さんは、消臭剤などを手がける日本のベンチャー企業約10社と提携。日本から半製品を輸入し、中国国内で調達したボトルに充填。自社ブランドとして中国国内で販売する一方、OEM(相手先ブランド名製造)として日本にも輸出している。

 製品は家庭用に業務用、スプレータイプに据え置きタイプと、用途によってさまざま。ナノ光触媒や銀イオン、グラフト重合高分子などの技術を応用し、消臭や除菌・抗菌効果をもたらす。販売チャネルもさまざまだが、現在は、小売では自動車用品店、シックハウス対策ではホテル、住宅、オフィスをとくに重視している。

 シックハウス対策に関しては、自社で施工まで行なう。上海市の一級工事の資格を取得しているのが同社の強みだ。

 オフィスについては中国企業はまだ環境問題に対する意識が低く、引き合いは少ない。あるとしても、「総経理(社長)室だけでいい」という依頼がほとんどだという。それゆえに、自然と顧客は日系企業や欧米企業が中心となるので、反日デモの影響はそれほど大きくなかった。 

年間数千万元の売上を見込めるプロジェクトが頓挫

 一方、自動車用などの小売りでは、反日デモ直後、店舗から商品が撤去される憂き目に遭った。しかし、最も大きな損害は受注見込み案件の取消しだ。

 林さんの故郷である福建省出身の知人が、中国各地で経営するインターネットカフェ数店舗を日本式ドラッグストアへ業態転換しようとしていた。スマートフォンの普及により、インターネットカフェの利用者が減少しているからだ。そのドラッグストアに消臭、抗菌などの室内環境改善関連の商品を入れる予定になっていたのだが、反日デモ以降、話が止まってしまった。

 それだけではない。地方政府と交渉を進めていた、年間数千万元単位の売上が見込めるプロジェクトも頓挫してしまった。地方政府や国有企業は、とくに“日本製”に対して敏感になっていた。政治的主張というよりは、メディアや中央政府など、どこに叩かれるかわからないからだ。いずれにせよ、これらふたつの事業は社運を賭けたプロジェクトだっただけに、林さんにとってショックは大きかった。

品質が認められ、関係当局から「十大ブランド」に認定されたこともある。しかし、基準に達していない「インチキ商品が多い」(林さん)のが室内環境グッズ業界の現状だという【撮影/大橋史彦】

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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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