現在、35歳の人が高校に進学したのは約20年前だが、その当時の日本で高校に進学しない中卒者は全体の3%程度しかいない。ところが、今回の調査対象である糖尿病患者は、14.7%もの人が中学校が最終学歴となっている。

 同様に、35歳の人が大学に進学した約15年前の高卒者は、全体の28%程度。一方、今回の調査対象の糖尿病患者は44.3%が高卒だ。

 雇用形態にも特徴があり、調査対象となった糖尿病患者(男性)は、正規雇用が56.5%で、パートや派遣など非正規雇用が17.3%、無職の人が16%となっている。一方、2013年3月の総務省「労働力調査」によれば、25~34歳の人は、正規雇用が79%、非正規雇用が12%、無職が7%。糖尿病患者のほうが不安定雇用の割合が高い。

 2010年度の国民健康栄養調査によると、世帯収入600万円以上の人は21%いる。しかし、今回の調査対象の糖尿病患者で世帯年収が600万円以上の人は10.6%しかおらず、相対的に収入も低いのだ。

 生活習慣の聞き取り調査でも、「糖尿病患者は朝食を食べていなかったり、夕食を22時以降など不規則な食事をしている人が多い」(宮城医師)という。

 つまり、低学歴なために、長時間労働を強いられる不安定雇用につかざるをえず、収入も多くは望めない。それは食生活にも影響する。そして、生活習慣の乱れが肥満を誘発させ、糖尿病の発症につながっていると考えられる。民医連の調査からは、糖尿病患者の抱えるこうした社会的背景が浮かび上がってくる。

諸外国に比べて教育費への
公的支出が極端に低い日本

 こうした20~40歳の2型糖尿病患者が抱える社会的背景が分かると、「自己責任」の一言で片づけることはできないだろう。病気の発症や進行が本人の生活習慣にあるにしても、それを見直すためには、遠因となっている低学歴や低収入などを考慮した対策を講じる必要がある。

 人は、生まれてくる環境を選ぶことはできない。それなのに、今の日本は親の職業や年収、生まれた場所など、本人の資質に関係のないことで人生が左右されることがあまりにも多いと思う。