『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』を
Kindleで読んでみた

 先日、かの『ブレードランナー』(1982年公開[*1])の原作でもある『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』をAmazonのKindle版で読み終えました。電子書籍を完読したのはこれで2冊目です。

 1冊目は村上龍の『歌うクジラ』でした。2010年7月に電子書籍版が本に先行して配信され、その芸術性は驚くばかり。章扉は光がゆっくり明滅するアート。そこで流れる静かな音楽(?)は坂本龍一による小品。読む者をどこまで物語に引き込めるのかの挑戦が、そこにはありました。製作を担当された、グリオの船山浩平さんたちの苦労が偲ばれる逸品でした。

 一方、『電気羊』は「ただの」Kindle版です。原作にはイラストがないので、Kindle版でも同じ。ただひたすら文字だけの画面が続きます。使った端末はiPod touch。1136×640ピクセルのRetinaディスプレイですが、しょせん4インチ。文庫本と同じサイズのフォントにすると、1画面に表示される文字数は、わずか261文字。文庫1頁(756文字)の1/3、文庫見開きの1/6です。つまり、文庫の6倍、頁をめくることになります。

Kindle本を読んでみた<br />~アンドロイドは電子書籍の夢を見るか

 本好きの自分が、ふつうの電子書籍になじめるのかの実験として「好きだけど内容を詳しくは覚えていないSF」を選びました。さて、その結果は……。

*1 主演ハリソン・フォード。彼は当初、この作品を気に入っていなかったとか。