この動きから、以下の仮説を立てることができる。
仮説1:日立製作所の総資産の増減に合わせて後追い的に売上高が連動しているのは、事業の売却や買収による事業ポートフォリオの変革を行ってきたためである
実際に日立製作所では、09年3月期に7873億円という当時の製造業としては過去最大の最終赤字を計上した後、積極的な事業ポートフォリオ(事業構成)の組み換えを行ってきた。
例えば、16年5月には日立物流(現ロジスティード)、同年10月には日立キャピタル(現三菱HCキャピタル)の株式を一部譲渡して子会社から関連会社(持分法適用会社)とし、17年3月には日立工機(現工機ホールディングス)を、20年4月には日立化成(現レゾナック)を売却するなど、ノンコア(非中核)事業の切り離しを進めてきた。
その一方で、20年7月にはスイスABBのパワーグリッド(送配電)事業を取得。21年7月にはデジタル・トランスフォーメーション(DX)支援を行う米グローバルロジックを約96億ドル(有利子負債を含む、日立製作所公表ベースで約1兆368億円)で買収している。
こうしたノンコア事業の切り離しとコア事業における買収が総資産を増減させ、さらにその後における売上高の増減につながったと推察される。
次に、営業利益の推移を見てみると、21年3月期には新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあって一旦落ち込んだものの、その後は順調に拡大していることが読み取れる。
冒頭で述べたように、25年3月期の営業利益は約9720億円で、16年3月期の約6350億円と比較すると1.5倍を超える水準にまで伸びている。このことから、次のような仮説を立てることができる。
仮説2:22年3月期以降、日立製作所の営業利益が拡大したのは、事業ポートフォリオの変革が功を奏したためである







