自己肯定感や自尊心を
傷つけてはいけない

 私が一流の人たちから学び、大切にしていることがもう一つあります。それは相手の自己肯定感を大切に、そして自尊心を傷つけないことです。

 伝え方を間違えてしまったり、感情が行きすぎたりしてしまうと、叱られている方は存在自体を否定されているように感じてしまいます。

 人には誰にでもプライドがあります。人としての尊厳を守ることも叱る側の責任です。叱る時にむやみやたらと人前で叱らない。必要以上に大きな声で叱らない。これは大事なことです。

 叱るという行為は、相手の成長を願うからこそ生まれます。それによって相手の心が折れてしまっては元も子もありません。

 相手の自己肯定感と自尊心を守ること――一流の人は、どんなに厳しいことを伝えるときも、この二つを壊さないように言葉を選びます。

 日々のコミュニケーションの努力を惜しまず、極力叱らない。どうしても叱らなければいけないときは、それを相手を責めることではなく、導くことだと捉える。これが「叱り方の作法」と言えるのではないでしょうか。

 また、叱られる立場になった時は、叱ることは、相手への関心の裏返しだと捉えると良いと思います。

 本気で相手の成長を願うからこそ、時には厳しい言葉をかけることもある。叱り方の作法を両者が身につけることで、人も組織も大きく成長すると言っても過言ではありません。