橘玲の世界投資見聞録 2013年6月20日

道の渡り方からアジアについて考える
[橘玲の世界投資見聞録]

中国の横断歩道事情

 道を渡る難易度の高さでは、中国もベトナムとひけをとらない。

 文化大革命後の中国では、90年代はじめまで自動車に乗っているのは共産党幹部などの権力者だけで、“人民”の大半は自転車を使っていた。それが爆発的な経済成長でいきなり四輪車の時代になったため、「(権力の象徴である)車は歩行者を蹴散らして当たり前」という“車優先”の奇妙な文化ができあがってしまった。

 日本人にとって中国での道路の横断をさらに危険なものにしているのが、右側通行と左側通行のちがいだ。

 左側通行の日本では、私たちは「右を見て、左を見て」道路を渡るように教育されている。ところが中国は右側通行なので、車はまず左方向からやってくる。だから、「左を見て、右を見て」道を渡らなくてはならない。

 もうひとつ日本の交通ルールとの大きな違いは、車は赤信号でも右折が許されていることだ。同じルールはアメリカなどにもあり、交通量が少ない道路で右折(左側通行の日本では左折に相当)のために信号が変わるのを待つのは無駄、という合理的な理由によるものだ。

こちらは上海の浦東。歩行者用信号が赤でも広い道路を堂々と渡る (Photo:©Alt Invest Com)

 もちろんアメリカでは、赤信号での右折は車や歩行者がいないことを確認したうえでの“絶対安全”が条件となる。ところが中国では、青信号で直進してくる車には道を譲るものの、歩行者を無視して右折するのが当たり前とされている。

 中国で道を渡る場合は、道路の左側を歩くか、右側を歩くかで危険ゾーンが異なる。

 道路の左側を歩いている場合は、青信号で横断歩道を渡ろうとした瞬間に、左から右折の車が突っ込んでくる。これはかなり危険なので、どのような場合でも、車道に足を踏み出す前は必ず左方向を確認しなければならない。

 無事に道路の真ん中までいくと、今度は正面右手からクラクションを鳴らして車が右折してくる。もっともこれは、歩行者とドライバーがお互いの位置を確認しているからそれほど問題はない。危ないのは右後方から左折の車が突っ込んでくることだ。

 私たちは、横断歩道を渡っている時に自分の後方を注視するような訓練を受けていない。しかし中国のドライバーは、歩行者が車に道を譲るのが当たり前だと考えているので、横断歩道の真ん中でいきなり後ろからクラクションを鳴らされて驚くことになる。

 道路の右側を歩く方が、左側よりすこし簡単だ。

 この場合は、正面左手から左折の車が入ってくる可能性があるが、これはかんたんに視認できる。道路を渡り切るあたりで赤信号を右折する車に遭遇するが、その状況は道を渡っている最中に把握できる。唯一危険なのは、道を渡り始めるときに左後方から右折の車が突っ込んでくることだ。

 

 

 中国の大都市の交通渋滞は悪化の一途をたどり、車が傍若無人に振る舞うため、バイクが歩道に押し出されるという現象もあちこちで起きている。中国の都市はいっぱんに歩道を広くとっているが、そこを歩いていると、前や後ろからクラクションを鳴らしながらバイクが走ってくる。これも日本では考えられないことで、帰国してもしばらくのあいだ、後ろからバイクが来る感覚が消えない。

 上海などの大都市では、欧米人の歩行者には遠慮するドライバーもいるが、私たち日本人にはなんの容赦もない。これはもちろん「反日」とはなんの関係もなく、中国人と日本人の区別がつかないからだ。

 こうした“中国式交通ルール”が分かっていても、横断歩道の真ん中でクラクションを鳴らされ、窓越しに罵声を浴びせられるとさすがに頭にくる。いくらなんでももうちょっとなんとかならないものだろか。

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 <執筆・ 橘 玲(たちばな あきら)>

 作家。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。「新世紀の資本論」と評された『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ベストセラーに。著書に『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 究極の資産運用編』『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 至高の銀行・証券編』(以上ダイヤモンド社)などがある。ザイ・オンラインとの共同サイト『橘玲の海外投資の歩き方』にて、お金、投資についての考え方を連載中。


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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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