(1) 贈与に思いを乗せる
子や孫に現金を贈与する場合は、人生の節目にメッセージと併せて渡すのが望ましいと考えます。例えば、教育資金や独立支援などです。
単にお金を渡すのではなく、最低限「あなたの未来を応援している」「このお金は挑戦のために使ってほしい」とメッセージを添えるのです。
受け取る側にとって、そのお金は「親の願い」を具現化したものとなります。
お金を渡しても他人に奪われる可能性はありますが、教育は絶対に他人に盗まれません。魚をあげるのではなく、魚の釣り方を教えるべきなのです。
(2)形ある資産にストーリーを乗せる
不動産や株式など“形ある資産”を贈与する場合、その背景や意味を伝える必要があります。
「節税のためにやっている」ではなく、例えば「この土地は先祖が代々守ってくれた場所であり、大戦中はここに防空壕を掘って空襲から身を守ってくれた土地である」とか、「この自社株はわれわれ一族と従業員をつなぐ象徴であり、今まで何人もの従業員が退職までこの会社で勤務してくれた」といった言葉と、その背景にあるストーリーを添える必要があるでしょう。
ストーリーを共有することで、贈与は「節税」から「継承」へと変わるのです。
(3)共同体・文化を乗せる
資産の贈与を通じて、社会や地域との関わりを次世代につなぐ目的もあります。
例えば、「この自社株を通じて地域の雇用を支えてほしい」とか「この不動産があるおかげで、家賃収入によって働かなくても良い暮らしができている。それだけではなく、行政と住民をまとめる地域の結節点としての役割がある」というようなことを毎年の贈与の度に繰り返し、繰り返し説いていきます。
若干、古臭いものを感じるかもしれませんが、共同体の一部であること、それが文化として承継し続けていかなければならないものであることを伝えるべきでしょう。
責任と対価。受け取る側が責任を感じなければ、その資産が有効活用されなくて当然です。
多くの人は「贈与=節税」と考えます。
もちろん、税務の観点からの最適化は欠かせません。しかし、節税がゴールになってしまうと、資産は“形”として残っても“意味”が失われることになります。
結局、子どもに安いコストで資産を渡せたが、子どもがその価値を正しく理解せず、早いタイミングで売却してしまうという事態になりかねないです。
贈与を考えている方に改めて質問をしたいと思います。
あなたはお金の上に何を乗せますか?







