IPO社長“ゆとりくん”が大バズり
2026年注目のインフルエンサーは?

 また、若者のインフルエンサーの構造にも大きな変化が起きているという。その象徴となっているのが、ABEMAの恋愛リアリティ番組『今日、好きになりました。』だ。

「『今日好き』に出ている子たちは一気にバズります。その人気の根底は、“同じクラスにいるかもしれないという距離感の近さなのかなと、1世代上の視点から勝手に想像しています(笑)。現役高校生でTikTok150万人以上のフォロワーを持つMON7A(もんた)さんなんかは、そこにスター性が乗っかって、25年を代表するバズり人になったのかなと」

 10代、20代の若者が求めているのは特別な存在ではなく、応援できる、親しみやすい存在。経歴よりも、身近さ、率直さ、誠実さ。距離が近い人間ほど支持されている。ちなみにこれは政治家でも同じだろう。

 とはいえ、本当の意味でインフルエンサーと呼べるのは、若者人気だけの人ではない。上の世代――いわゆる“おじさん・おばさん世代”にも受け入れられて初めて、マスに影響を与える存在になる。その代表例として岸谷さんが挙げたのが、アパレル企業として創業から最短での新規株式公開を果たした株式会社yutori社長の片石貴展さん、通称“ゆとりくん”だ。

「ゆとりくんは、若い世代からの支持はもちろん、上の世代にもちゃんと刺さっているんです。僕が思うに、上の世代に受けるのは、“かわいげの中の生意気さ”をどこまで勇気を持って入れていけるか、なのかなと。その配分が自然に出せる人は強いと思います」

 この“かわいげと生意気さのバランス”は、岸谷さんにも当てはまる。親世代にも届く「説得力」と、若者が魅力を感じる「軽さ」。その両方を持つ存在が、今後のインフルエンサー像として価値を帯びていくはずだと語る。