新しいプレリュードは「アコード」から「シビック TYPE-R」ベースになった

 24年ぶりにホンダの名跡(みょうせき)「プレリュード」の名が戻ってきた。

 四半世紀ぶりに復活したこのクルマは、かつての名車の焼き直しではない。ホンダがこの名を再び冠したのは、懐古ではなく挑戦のためである。

 歴代プレリュードは、アコードを基盤にしたスペシャリティクーペだった。しかし今回の新型は、骨格からしてまったく違う。

 ベースとなるのは最新の11代目シビックと共通するアーキテクチャ。足まわりはデュアルアクシス・ストラット、Brembo製ブレーキ、可変ギアレシオの高剛性ステアリングと、シビック TYPE-R(以下、TYPE-R)のそれを受け継いでいる。

 無論、スペシャリティーカーにゴツゴツ硬い足回りは不要であるから、プレリュード専用に再チューニングが施されている。プラットフォームは共通でも、走りの性格は根本から造り直されているのだ。

 TYPE-Rがサーキットの限界性能を追ったマシンだとすれば(何しろFF車でニュル最速のタイムを叩き出しましたからね)、プレリュードはその哲学を日常の速度域にまで落とし込んだグランドツアラー。青筋立ててコンマ1秒を削る脚ではなく、途切れなく快適なリズムで“滑るように走る”脚に設定されている。ホンダはその乗り味をして「グライダーのような走り(Unlimited Glide)」と表現している。

 そう言えば和製スペシャリティカーの元祖であるトヨタ ソアラの名も、最上級グライダーを意味しているのであった。

新開発「Honda S+ Shift」を搭載

 動力源は2リッター直噴+2モーターの最新e:HEV。新開発の「Honda S+ Shift」(ホンダエスプラスシフト)により、モーター駆動で仮想8速の段付き感覚をつくり、メーター表示と車内のスピーカーから発する合成エンジンサウンドを同期させて“擬似回転”のコーフンを味わえる仕組みになっている。さらに“Coasting Control”で惰性の滑走感を演出している。静粛な電動駆動にリズムと手応えを楽しめる意欲的な試みだ。

ホンダのハイブリッドシステム「e:HEV」用の新しいパワーユニット制御技術「Honda S+ Shift」