価格は600万円超えも、出足は好調
気になるお値段は617万9800円。600万を超えてきましたか。
同じく2ドアクーペである日産フェアレディZのベースグレード車(6MT)が549万7800円であることを考えると、なかなかの強気設定だ。何しろあちらは3リッター V6ツインターボで後輪駆動のピュアスポーツ車ですからね。
この値段が吉と出るか凶と出るか。出足は好調で、月販計画300台に対し、実に2400台もの注文が入ったという。この勢いがどこまで続くのか見ものである。
日本のスペシャリティクーペは今や絶滅危惧種とも呼べる存在だ。2ドアの新型を継続的に用意するメーカーは片手で数えられるほどしかなく、「造っても数が出ない」は業界の常識である(価格はかなり離れているけれども、マツダのロードスターは本当に凄い。世界を見渡しても稀有な存在だ。継続は力なり、である)。
かような状況下で、しかもこの価格で、このテのクルマを出してきたホンダの勇気には拍手を送りたい(あれは単なる“蛮勇”だったね、と言われないよう心から願いたい)。
“走る歓び”は、効率や台数の論理では測れない――プレリュードの名跡は、「軽とミニバンの会社」と言われて久しいホンダ復活の文字通り“前奏”となるべく響き始めた、と信じたい。頑張って続けてくださいよ。S660やS2000みたいに、すぐに諦めないでくださいよ、マジで(他にもCR-ZとかNSXとか、いろいろ続けてないもんなぁ……)。
プレリュードに乗って千葉へドライブ
それでは早速クルマに乗り込もう。今回はプレリュードでゴルフに行った。行き先は千葉の鳳琳カントリー倶楽部。バブルの残り香がプンプン漂うゴルフ場だ。
24年ぶりに復活したプレリュードで(バブルの追い風で、かつては売れに売れていたのだ)、バブル崩壊後に経営破綻したゴルフ場に行く(崩壊後も10年ほど踏ん張っていたが、2003年に経営会社の都市環境開発が民事再生を申請)――何とも数奇な巡り合わせではないか。
まず、クルマに乗り込んだ瞬間の印象がいい。
ドアの開閉音は「トン」と軽い。しかし軽薄ではなく、車体の芯の太さを感じさせる太い「トン」だ。シートは柔らかすぎず硬すぎず。運転席には左右をガッチリ支えてくれる大型ランバーサポートが備わっている。
一方で助手席のランバーサポートは意図的に小型化されている。「スカートを履いた女性でも乗り降りしやすいように」と配慮してとのことだ。デートカーの面目躍如である。実際に助手席で乗り降りしてみると、確かにサイドサポートの出っ張りが控えめで、ひざから下がスッと抜けやすい。コスト削減ではなく、同乗者への思いやり設計と納得した次第。







