インテリアはシンプル
再び運転席。腰を落ち着け、まずは周囲を見回す。インテリアはシンプルを極めている。
プレリュードのインテリア Photo by F.Y.
最近のホンダ車に共通する水平基調のインパネに、細い金属調のラインが一本。華美な装飾は一切なく、代わりに素材の手触りで勝負している印象だ。
メーターはフルデジタル。中央に速度計、左にエネルギーフロー、右にパワーゲージ。
起動前の真っ黒な液晶が、スイッチを入れると淡い青の環を描いて浮かび上がる。“やり過ぎ”でないところが良い(昨今はビデオゲームのオープニングのような演出が多いですからね)。ホンダ車はこうでなければいけない。
ステアリング中央に、ホンダのH印が輝いている。その周囲を包むレザーには丁寧なステッチが走っている。シフトセレクターはボタン式で味気がない。もう少し色気が欲しいとも思うが、まあe:HEVですからね。ここは仕方がないか。
キャディバッグを積むために、リアシートは倒してある。倒した背もたれと荷室がフラットにつながっている。クラブはもちろんのこと、ショートであればサーフボードを積むことができるとのこと。ただ、この価格のクルマを買う年齢層で、果たしてどれだけの人がショートボードに乗るのだろう。オヤジサーファーの多くはロングボーダーなのではあるまいか。
後ろのドアを開けたところ。リアシートを倒してある Photo by F.Y.
ロングドライブに適した、バランスのいいGTモードを試す
キーを押すと「READY」の文字が点り、まずは静かに滑り出す。家の前の交差点を二つ、モーターの押し出しだけで走り抜ける。トルクは厚く頼もしい。ただ“静か”で終わらず、踏み増しに対してじわりと粘りがある。無音の直線ではなく、わずかに“呼吸”を感じる立ち上がりが好ましい。
用賀から首都高へ入る。サスペンションは懐が深く、路面の継ぎ目を一発で飲み、二発目三発目を出さない。大橋ジャンクションで下りながらのカーブ。気持ちがいい。
100km/hに乗せる。静粛性は上等。しかしただの無音ではない。ホイールハウスからのロードノイズが薄く残り、速度感の手がかりになる。
左上の「S+」が「Honda S+ Shift」ボタン。ここでドライブモードを切り替えられる Photo by F.Y.
ここでモードをGTに切り替える。ステアのセンターがわずかに重くなり、直進の“芯”が太くなる印象だ。追い越しでアクセルを3分の1、さらにもうひと押し。ここでHonda S+ Shiftの“段”が顔を出す。メーターの仮想ギアが一段上がり、ASCの疑似サウンドが軽く持ち上がる……が、音造りは残念ながらイマイチと言わざるを得ない。
「フィーン」と“車格の低い音”がする。せっかくの合成音。もう少し煮詰めて欲しかった。また仮想ギアチェンジのテンポも悠長だ。回転が先にふくらみ、速度の伸びがあとからついて来る薄いラバー感。速さを演じているが、本当に速いわけではない。長距離では疲れにくいが、昂ぶりを求めるといささか拍子抜けする。







