東関道を降り、鳳琳カントリー倶楽部へ向かう県道へ。ここからが本番だ。適度にうねる片側一車線、路肩に枯葉。モードはGTのまま、舵角を小さく、ブレーキは手前で終わらせ、曲率に合わせてスッと荷重を前から横へ送る。
前輪が地面をねっとり掴み、後輪がそっと付いてくる。連続S字で速度を落とさず繋いでも、驚くほどタイヤが鳴かない。これは素晴らしい。さすがはTYPE-R由来の足回り。デュアルアクシス・ストラットの恩恵か、舵の深いところでトレースが崩れにくい。ドライバーのヘボさを、クルマがしっかり飲み込んでくれる印象だ。
きびきび走れるSportモード、リラックスできるComfortモードは?
ここで試しにSport。減速セレクターで回生を一段強め、入口で“コッ”と前輪に荷重をかける。擬似サウンドはさっきより前へ出る。耳の真ん中に居座る感じが否めない。やはりもう少しの工夫が欲しい。メーターと音が同期して“シフトダウン的な演出は巧みだが、前に出るトルクのキックは控えめ。ここでもS+ Shiftは“丁寧”が勝つ。悪く言えば、お行儀が良すぎる。
繰り返すが、足は素晴らしい。入力の当たりがソフト、すぐに減衰が立ち上がり、三発目を出さない。TYPE-Rの素材を借りつつ、まったく別のキャラクターに仕立て直している。ワインディングの中速域で特に冴える。舵を入れた直後に車体がひとかたまりで旋回を始め、そのままスッと立ち上がる。
ここでComfortに戻すと、今度は路面の細かいザラつきが消えて、軽い惰性で転がるCoasting Controlの“滑走感”が顔を出す。速度の山と谷が浅くなり、曲がっているのに直線を走っているような気分になる。ホンダが言う“グライダーのような走り”??比喩としては大げさに聞こえるが、速度が減らない感覚という意味では、なるほどと腑に落ちる。
このクルマは“記号としての速さ”より、“移動手段としての上質さ”がウリだ。絶対的な速さより、「疲れない・ムダがない・怖くない」の三拍子で勝負している。
「え、これが噂の?」さすがの注目度
クラブハウスが近づく最後の数キロはGT固定。ステアの微修正が減り、車線の中央に居続けるのが楽になる。路肩の落ち葉を跨いでも、車体が左右に振られない。減速からの舵入れで姿勢が一度で決まる。タイヤは、ここでも鳴かない。速度を落とし、ゲートを抜けるスロープでComfortに戻す。段差の“二発目”を丸く吸い、クラブハウスへと向かった。先に着いていた仲間が、「何スかこのクルマ?」「え?これが噂のプレリュード?」と興味津々の顔で寄ってくる。注目度高し。
さすがプレリュード。注目度、高いです Photo by F.Y.
快適で疲れない移動。これでゴルフのスコアが良ければ言うことナシなのだが、結果は惨憺たるものだった。クルマは良いが、スコアはイカン……。
プレリュードのエンジンルーム Photo by F.Y.
それでは最後にこのクルマのマルとバツを。







