筆者が尊敬する大物コンサルの
たぐいまれな人間的魅力

 なお、本連載では以前「コンサルへの依頼を検討している事業会社は、大手だけでなく独立系を視野に入れるのも一つの手だ」と解説したことがある。

 独立系とは、大手で成果を上げた人達が、その名の通り独立して立ち上げたコンサルファームである。大手では「うちのプロジェクトはこうだ」と型が決まっているケースもあるが、独立系ではクライアント側のオーダーを柔軟に聞いてもらえる利点がある。 

 本題に話を戻すと、独立系ファーム「ピー・アンド・イー・ディレクションズ」の代表取締役CEO・島田直樹氏は、ハードスキルとソフトスキルを兼ね備えたトップコンサルタントの代表例だと筆者は考える。

 島田氏はBCG(ボストン・コンサルティング・グループ)出身で、現場第一を信条とするコンサルタントだ。その人柄ゆえ、ピー・アンド・イー・ディレクションズの創業25周年記念イベントには、日本を代表する企業から2000名以上が来場。多くの著名経営者も訪れた。

 そのイベントの開会の挨拶で、島田社長は聴衆に向かって次のように述べた。

「今日は会社のCEOとしてではなく、皆さんをおもてなしするCEO(チーフ・エンターテインメント・オフィサー)として一肌脱がせてほしい」

 このワードセンスに、多くのクライアントを引き付けるコミュニケーション能力の高さが表れている。

どれだけ優秀でも
煙たがられるコンサルはリストラされる!?

 ちなみに、若手のうちから、資料作成が多少イマイチでも、コミュニケーション力が高く、周りから好かれているコンサルは意外と生き残れる。

 一方で、どれだけ優秀でも周囲から煙たがられている人間は、何かあったときに最初に首を切られる。2008年にリーマン・ショックが起きた際、コンサル業界で真っ先にリストラされたのはそうした人だった。

 コンサル業界では、社内外でかわいがられる人間力を「チャーム (Charm)」と呼び、れっきとしたスキルとして重要視している。 読者の皆さんも、同じような実務能力を持ったコンサルの集団から、誰か一人だけに仕事を頼むように言われたら、人間的魅力のある人物を選ぶのではないだろうか。