趣味の無いコンサルは
顧客と腹を割って話せない
コンサルが趣味を持つもう一つの理由は、仕事以外の取り組みを通じて見識を広げたり、ひらめきを生んだりできるからである。
音楽が好き、歴史が好き、美術が好き。コンサルの中には、好きが高じて、その分野を探究している人もいる。実は筆者も3歳からピアノとヴァイオリンを習っていたので、クラシック音楽については詳しい方だ。
クラシック音楽にはバロック音楽と呼ばれる様式がある。17世紀初頭~18世紀半ばのヨーロッパで栄えた様式で、演奏家は楽譜通りに楽器を弾くだけでなく、自身の裁量による即興性の高い演奏が認められていた点が特徴だ。
こうした知識や、バロック音楽の作品を演奏した経験は、マニュアル通りに仕事をこなすだけでなく、自分なりの付加価値を生み出すことに役立っている。
インドア・アウトドアを問わず、クライアントと趣味が一致すると、商談時のアイスブレイク(空気をなごませるための雑談)でも大いに役立つ。
ゴルフは人脈形成を目的に始める人も多いが、そうした“打算的な趣味” ではなく、音楽や美術、スポーツといった本当に好きなものが一致した場合は、顧客との会話が一段と盛り上がる。結果として、より強固な信頼関係を築くことにもつながる。
育児などのプライベートな話を通じて、クライアントと親しくなることもある。「仕事しかできないコンサル」が生き残っていけない理由をお分かりいただけただろうか。
筆者も3人の子育てをしながら趣味と仕事を両立させているが、仕事一辺倒では絶対に得られなかった経験ができている。仕事の生産性も上がり、メリットは大きい。
これまで述べてきた話は、コンサル業界だけでなく幅広い業界にも当てはまるものだろう。もうすぐ新しい年を迎える。今年は仕事に忙殺されていたという人は、来年は趣味に打ち込むための「戦略的余暇」を取ることを強くおすすめしたい。







