これまでIT導入の対象部門として大きな注目を集めてこなかったマーケティング分野へ、複数のITベンダーが熱いアピールを始めている。

マーケティングも「勘」から「科学」の時代、<br />日本企業に特有の課題とは?<br />アドビ システムズ社プロダクトマネジメント担当バイスプレジデントのビル・イングラム氏 Photo by Yuko Miura

 6月13日、アドビシステムズが開催した「Digital Marketing Forum 2013」には1500人以上のマーケティング担当者が集まり、デジタルマーケティングに関する事例やソリューションの紹介を熱心に聞き入った。これまでPhotoshopなどクリエイター向け商品を提供してきたアドビが、マーケティング分野向け製品の提供を始めたことから開いたイベントである。

 マーケティング分野のIT化はアドビだけが取り組んでいるわけではない。オラクル、IBM、セールスフォース・ドットコムといったITベンダーもマーケティング分野でのIT活用に向け、盛んにアピールを始めている。ITベンダーが一斉にマーケティングをターゲットしている理由はどこにあるのか。

「顧客の多様な要望にこたえる」「顧客がアクションするまでの一瞬の体験を最適化する」――マーケティング担当者に向けたアドビシステムズの講演の中で、繰り返しアピールされたキーワードである。

 インターネットで商品を購入するという体験ひとつとっても、顧客がサイトにアクセスするデバイスはパソコン、スマートフォン、タブレットと多様化している。サイトの利用者も拡大し、それぞれの顧客のニーズは多様化する一方だ。

 そこでアドビの提供する「Adobe Marketing Cloud」では、デジタルの世界のマーケティング活動を科学的に管理する機能を提供する。

 例えば、オンラインショッピングサイトでアクセス数に対する購買率が急激に高い、低いといった変化が起こった場合にはアラートを表示。担当者はその理由がどこにあるのかを分析する機能を持ち、原因を突き止めた際には販売サイトを原因にあわせて変更し、商品の表示順を最適化し、最適な内容の配信を行う。また、見込み客を獲得するために、どんな顧客層が存在するのかの分析をSNSや販売データをもとに分析する。

 顧客の声を聞き、その声から顧客の動向を予測、顧客の声に最適な内容を作り上げ、各デバイス、メディア向けに配信する。この作業をツールで迅速に、最適に、継続的に行う。