中国 2013年7月17日

【番外編】モルディブレポート
今や中国人に定番の新婚旅行先。中国人向けサービスが充実

人との距離感が違う日本人と中国人

 閑話休題。

 われわれは、レストランで助けを求めてきた武漢市出身の夫婦としばし行動をともにすることになった。日本人的感覚すると、ハネムーン中に見ず知らずの他人と行動するというのはあまり考えられないのではなかろうか。人との距離感が日本人と中国人とでは違うということを実感する。

 この夫婦の旦那のほうは、水恐怖症で水に入ることができなかった。目的地を間違っていないかと突っ込みたくなるのを抑え、われわれ夫婦は、奥さんをシュノーケリングスポットに案内した。

 奥さんはシュノーケリングは未経験者だった。私の妻は午前中にダイビング講習を受けていてなんとなく要領は得ていたので、奥さんの手を引いて付き添ってあげた。しかしやがて疲れてくると、なぜかのそ役割は私に回ってきた。

 中国人は、嫉妬深いほうだと思う。にもかかわらず、正当な理由(?)があれば、旦那が別の女性の手を引いて水中遊泳しようが、あるいは妻が見ず知らずの男に手を引かれてサンゴ礁を鑑賞していようが、おかまいなしなのである。むしろ、こっちのほうがドキドキしてしまう。私がいろいろ考えすぎなのだろうか?

蘇州から来た夫婦(左)と入ったレストラン。注文するやいやな、停電に見舞われた【撮影/大橋史彦】

 

中国語を話すバングラデッシュの出稼ぎ労働者

 帰路は夜の便だったので、首都のマレに立ち寄った。ここでも、水上飛行機で知り合った夫婦と行動をともにすることになった。

 モルディブは、インド経済圏といっていいだろう。街を走るクルマは、ほとんどがスズキをはじめとする日本車。たまにタタ・モーターズを見かけるぐらいだった。街中の看板を見ても、日本の大手メーカーのものが目立った。

 しかし、そんな小さな島にもチャイナマネーは押し寄せていた。中国の決済システム「銀聯カード」が進出しているのだ。夕食を摂ったレストランには、誇らしげにそのステッカーが貼られていた。

 日本のリテール市場から撤退している英HSBCが、人口わずか30万人の小国の首都に支店を構えている。そのHSBCと連携することで、銀聯カードは同国でのシェアを伸ばそうとしているのだ。

 もちろん中国人観光客の利用を促すことが第一の目的だろうが、HSBCは銀聯カードを付帯したカードを発行してもいる。ホテルのレストランで話をした従業員の一人も、HSBCに口座を開設していると話していた。モルディブ人も銀聯カードのユーザーになりうるのである。銀聯カードは日本でも加盟店数を伸ばしているが、世界を見据えた展開力には目を見張るものがある。

 レストランで給仕してくれた店員は、バングラデッシュからの出稼ぎ労働者だったが、われわれが中国語で会話をしていると、たどたどしい中国語で注文を聞いてきた。蘇州市から来たというその夫婦も英語を苦手としていたが、おみやげ屋に行っても、店員は片言の中国語で商品をアピールする。また、私が日本人であることがわかると、今度は日本語に早変わりする。

 日本は観光立国を目指し、訪日観光客数は順調に推移している。しかしこうした商売人たちのたくましさを目の当たりにすると、世界中で繰り広げられている観光客争奪戦に勝ち抜くには、まだまだ工夫が必要なのではないだろうか。

レストランで給仕してくれたバングラデッシュ人(右)。ガラス戸には、「銀聯カード」のステッカーが貼られている【撮影/大橋史彦】

(文・撮影/大橋史彦)

著者紹介:大橋史彦(おおはし・ふみひこ)
福島生まれ、埼玉育ち。法政大学卒業後、バックパッカーを経て編集プロダクションに勤務。2006年に中国移住。蘇州、北京、広州で現地情報誌の編集・制作に携わり、08年より上海在住。情報誌『City bros』の編集長を務めるかたわら、日本のビジネス誌や書籍への寄稿も多数。現在、独立準備中。

 

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