大切なのは、身の丈にあったお金の使い方

 高校卒業後に上京し、久々に帰郷した主人公・山吹摩耶。なぜかは分からないけれど大金を持って現れた彼女は、高校時代の5人の仲間たちに次々とその金を渡し、夢を実現するための援助を申し出る。そんな不思議な始まり方をする映画が『わたし出すわ』だ。ミステリアスなストーリーながらも、核となるテーマは謎解きではなく、お金とのつき合い方。

 ある者はそれをチャンスに夢へと近づき、ある者は深刻な事態に陥ってしまう。「お金の使い方そのものに、人の品格が現れる」と言う森田芳光監督の最新作だが、お金の意味、使い方について考えさせられる。

 この中で、愛よりも富と名誉にこだわり玉の輿に乗った美女・魚住サキを演じたのが黒谷友香。高校時代、小雪扮する主人公のことを一方的にライバル視していた自信家だ。

──ご自分の演じたサキのキャラクターや行動を、どう思いましたか?

黒谷友香
くろたに・ともか
1975年12月11日生まれ、大阪府出身。雑誌モデルを経て、95年に『BOXER JOE』のヒロイン役で映画デビュー。06年に阿木耀子監督作『TANNKA 短歌』で映画初主演。映画、ドラマ、舞台、CMなどで活躍。主な出演映画は、『クイール』(03)『ホームレス中学生』(08)など

黒谷:面白いというか、お金、ステイタスに価値を置く、分かりやすい人ですよね(笑)。自分の価値について、大部分は分かっているんですけど、若干、分かっていないカワイイ部分もある。

 ハッキリと勝ち負けで割り切り、「私のテリトリーはここまで」と決めたらそこは守るけれど、余分な戦いはしない。素直でオープンだし、ヘンな嫉妬心は燃やさない。でも、私はここで頑張ってるのよということはアピールできる人だと思います。

──そんなサキを演じた感想は?

黒谷:私とは全く違う性格だと思いました。今まであまりこういう役はやったことがなかったので、楽しく演じることができました。