説得、無理強いはNG
参加を歓迎する
「飲み会、行かなきゃダメですか?」と質問されたら、基本的にはこんな回答がよいと思います。
「行かなきゃダメなことはないけど、来てくれたら嬉しいな」
無理強いはせず、あくまで「参加を歓迎しています」と主催者のスタンスを伝えるに留めます。説得しようとしたり、強引に誘ったりはしないほうがよいと思います。
なぜ職場で飲み会を開催するのかといえば、お酒の席を楽しむことを通じてお互いを深く理解し、仲間意識を高め、思わぬ出会いや情報交換の発生を期待しているからです。
確かに昔の職場の飲み会は、現在の視点で見るとひどいことがたくさんありました。終電で帰れないのは当たり前で、自腹を切ってタクシーで帰宅するかホテルに泊まるか。あるいは会社に戻って朝まで寝て翌朝、ひどいコンディションで出勤するというような。今ならパワハラに該当するようなこともありました。
ただ、現在はさすがにそうした飲み会を行う会社はあまりないでしょう。常識的な会を常識的な範囲でお誘いして、相手が特に都合がなくても行きたくないなら仕方ありません。
ただ、「行かなきゃダメですか?」と質問する若手の先行きには不安が残ります。
組織の輪は、中心からの距離がそれぞれ異なります。上司からあくまで友好的に誘われたのに、「行かなきゃダメですか?」と強く拒絶すれば、組織内の輪において一番外側に置かれるような扱いを受けるかもしれません。
中心の近くにいれば、与えられたはずのチャンスを逃すなど、組織で仕事を行っていくうえで、それはマイナスに働いてしまうでしょう。本気で嫌なら無理に行く必要はないかもしれませんが、断り方には配慮が必要です。
自ら進んで二次会に
参加する若手
一般的に「最近の若者は飲み会に行きたがらない」と言われていますが、自ら進んで年長のOBや経営者層が集まる場に足を運び、交流を楽しんでいる人たちもいます。
たとえば、定期的に開催している私の大学のOB会では、一次会の後も20代中盤の若手が帰らずに残り、「二次会に連れて行ってほしい」と言います。
そして二次会に行くと大学の先輩・後輩の関係なので、そこでは遠慮なく「なんだ、ビールの注ぎ方も教えられていないのか。こうやるんだよ」と年長者が宴席マナーを教えたり、仕事に関する踏み込んだ議論を経営層と若手が交わしたりします。
彼らがなぜ飲み会を求めるのかを眺めていると、「美味しいお店に行ける」ことを前提として、いくつかの要因が推察されます。
とくに大きいのは新型コロナ禍の影響です。大学生時代に対面での接触が制限されたため、飲み会を経験できなかった世代には、先輩と飲み、コミュニケーションすることが新鮮に感じるようです。
彼らの職場では飲み会があまりなく、年の離れた先輩と接する機会は貴重らしく「いろいろな話を聞きたい」と真剣に言われます。「パワハラ」と指弾される恐れがあるので、踏み込んだ職務上のやりとりを避ける上司は少なくありません。
一方、飲み会の席でふと「出張先でこんな集まりがある」と言うと、「私、その日は近くにいるので参加してもいいですか」とフットワークよくやってくる若手もいました。
そんな姿を見ていると、もしかすると本気で成長したい人とそうでない人で二極化しているのかもしれません。
人が成長するには他者からの刺激が必要です。成果を出すには人脈も重要でしょう。自分の時間を大事にするのもよいですが、もし本気で成長したいなら飲み会に限らず、いろいろな場に出て行っていろいろな人と交わり見聞を広げ、情報を集めたり人のつながりをつくったりしなければなりません。
そこでは面倒くさいことや嫌なことも起こるかもしれませんが、そんなストレスも乗り越えていくことが自分の成長につながります。
実際のところ、当社がハイクラス人材を対象に実施した調査では、約9割が「業務外の飲み会や食事会に参加する」と回答し、さらには20代の100%が「業務外の交流はキャリアに役立つ」と回答しています。
また、「キャリアや仕事のヒントが得られる」という回答も全年代で最も高く、若手ほど業務外コミュニケーションを前向きに捉えている傾向が見られました(調査結果はこちらからご覧いただけます)。
会社が提供すべき
飲み会以外の選択肢
視点を上司に戻すと、インフォーマルなコミュニケーションを活性化させ、組織のエンゲージメントを高める方法は飲み会だけではありません。ちょっとしたランチ会やお茶会なども、カジュアルにコミュニケーションを取る機会となります。
みんなさまざまな事情や状況があるので、業務終了後に開催される飲み会に参加したくてもできない人もいます。主催者であるマネジメント側はそうした状況を勘案して、最適なセッティングを考えなければなりません。
当社の事例でいえば、ランチ会を定期的に行っています。社員が参加したくなるように今半のすき焼き弁当や叙々苑のカルビ弁当を頼んで舌鼓を打ちながら世間話をしたり、近所のお寿司屋さんを貸し切りにして盛り上がったり。ランチなので、貸し切ってもそれほど高くはありません。
最適解はそれぞれの会社、職場によって異なると思います。共通している目的は相互理解の深化や組織エンゲージメントの向上で、この視点に立てばそもそも飲み会にこだわる必要もない、という結論になるでしょう。







