高望みしないほうが
穏やかに生きていける

 若者は、年配者に比べて人生経験が足りませんから、ときに大きすぎるほどの期待を抱いてしまうことがあります。

 自分のような魅力的な人間なら素敵な恋人を見つけることができるはずだとか、自分のように優秀な人間ならどこでも自分が望む企業に就職できるはずだとか、人の2倍は高い業績を上げられるに違いないとか、すぐに出世・昇進できるだろうとか、まことに都合のいい期待を抱く人も少なくありません。

 もちろん、現実にそんなにうまくいくはずもなく、現実に裏切られ、逆恨みのような感情を持つことも少なくありません。一般論として、若者が年配者よりも感情的に不満を抱える傾向があるのはそのためでしょう。

 クラーク博士の「少年よ大志を抱け」という有名な言葉があります。夢や目標を持つことは素晴らしいことですが、あまりに大きな期待や野心、希望や目標を持つのはいかがなものでしょうか。現実にはそんなに思い通りにいかないことのほうが多いので、余計に腹立たしい気持ちになりそうな気もします。

 あまり高望みのようなものをしないほうが、穏やかに生きてゆくことができますので、心理学的にはそちらが正解と言えるでしょうか。

人生を穏やかに生きる
「一切皆苦」の教え

 仏教では、人生を穏やかに生きる極意として「期待しないこと」を説いています。「一切皆苦」(「いっさいかいく」と読みます)という仏教の根本的な教えがあるのですが、「人生は自分の思い通りにならないよ」という意味なのだそうです。

 もし「私はすぐに感情的になってしまう」という自覚があるのなら、ひょっとすると自分が抱く期待が大きすぎるのかもしれません。自分の思い通りにならないから、ついつい感情的になってしまうのでしょう。

「大きな期待を絶対に持つな」とまでは申しませんが、もし自分の期待が大きすぎて現実離れしていると感じることが多いのなら、今後は自分の期待を少し抑制することも考えてみてください。期待を減らせれば、ムシャクシャする頻度も相当に軽減できると思いますよ。

(参考文献)
Diener, E., & Biswas-Diener, R. (2008). Happiness: Unlocking the Mysteries of Psychological Wealth. Blackwell Publishing.
Schwandt, H. (2016). Unmet aspirations as an explanation for the age U-shape in wellbeing. Journal of Economic Behavior & Organization, 122, 75–87.

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