新車では不人気だったが
ドリフトマニアに愛されたワゴン車
トヨタのステーションワゴン「マークIIブリット」 Photo:SANKEI拡大画像表示
続いて紹介するのは、トヨタのステーションワゴン「マークIIブリット」(2002年発売)です。このクルマは、トヨタのプレミアムセダンとして一世を風靡した「マークII」をベースに開発されました。
マークIIブリットは、駆動方式にFR(フロントエンジン・リアドライブ)を採用し、ワゴン車でありながらスポーティーな走りが楽しめる仕様になっていました。
その上、最高出力280psを発揮する2.5L直6ターボエンジン「1JZ-GTE」を搭載したグレード「iR-V」も設定され、当時は大きな話題となりました。
しかし、そんな同車には懸念材料もありました。この時代はすでにステーションワゴンのブームが去り、SUVが盛り上がり始めていたのです。
実際に売り出してみると、マークIIブリットの販売台数は低迷。2007年5月に生産終了となりました。ベースとなったマークIIの後継機にあたるセダン「マークX」にはワゴンモデルが設定されていません。
ところが生産終了後、マークIIブリットは思わぬ層から注目を集めるようになります。それは、ドリフト走行を楽しむ若いクルマ好きです。
ドリフト自体は80年代から行われていましたが、2000年代に入ると競技として定着。一般層の中でも「乗用車でサーキットを走りたい」というムーブメントが広がりました。
その中で人気を集めたのは、マークIIや兄弟車であるチェイサーのMT車です。両モデルはドリフト愛好家の支持を集め、中古車相場が上昇しました。
高い人気を誇った「マークII」と張富士夫社長(当時) Photo:JIJI拡大画像表示
一方で、「本当はマークIIやチェイサーが欲しいけれど、高くて中古でも買えない」という人たちも増えていました。そうした層が注目したのがマークIIブリットだったのです。
彼らは、先述した直6ターボエンジンを搭載したiR-Vグレードを中古で手に入れ、トランスミッションをATからMTにスワップ(載せ替え)してドリフトを楽しみました。
その結果、特にiR-Vグレードの需要が高まり、中古車相場が上昇。このグレードは流通台数自体が少ないため、状態の良い個体には総額300万円以上の値が付くケースもあります。
ワゴン車としては販売に苦戦したマークIIブリットが、ドリフト愛好家の間で「隠れた名車」として支持されたことは、トヨタ側にとっても意外だったかもしれません。







