人・組織のマネジメントは、経営理念やビジョン、経営戦略との整合性を図ることが重要だ。また、労働市場、法的規制、労働組合、経済状況、技術的進歩、競合他社などの外部環境からの影響に留意しながら、柔軟に対応することが求められる。
経営理念、ビジョン、
経営戦略と人・組織のマネジメント
「自分は何のために働くのか」と問いかけたことがあるだろうか。生活に困窮していた時代には生活の糧を得るために働く人が大半だった。だが、現在のように生活がある程度豊かになってくると、多くの人が仕事に「働きがい」を求め始める。
自分の価値観や目的が企業の価値観やビジョン、目的に合致したり、共感できる部分が大きい場合などに、人は働きがいを感じる。したがって、「ヒト」を惹きつけその能力を発揮させるためには、企業は経営理念やビジョンを明示する必要がある。
さらに、組織として経営理念やビジョンを尊重し、従業員にもそれらに沿った行動を求めていることを、具体的な施策を通して伝えなくてはならない。それには、経営理念やビジョンを実現するための経営戦略と、それを支援する人・組織のマネジメントが必要となる。このとき、経営理念、ビジョン、経営戦略、人・組織のマネジメントのすべてにおいて整合性をとることが重要だ。これらの間で整合性がとれていなければ、経営理念に共感を覚えて入社した従業員のモチベーションが下がったり、戦略目標の実現を妨げるような行動をとるなどの副作用が生じるおそれがある。
外部環境要因
人・組織のマネジメントを考える際には、まず外部環境を把握する必要がある。外部環境を理解することは経営戦略との整合性を図る意味でも重要だ。外部環境の中でも、労働市場、法的規制、労働組合、経済状況、技術的進歩、競合他社は人・組織のマネジメントにとくに大きな影響を与える可能性がある。
■労働市場
労働市場を通して、企業は必要な人材を確保する。労働市場の構成が変化すれば、当然ながら、企業の人員構成や雇用形態も影響を受ける。近年では、労働市場に占める女性や高齢者、外国人の割合が増え、パートタイムや派遣社員などの就業形態を望む人も増えている。企業は必要に応じて、在宅勤務やワークシェアリングなどを柔軟に取り入れ、潜在的労働力を活用する方法を考える必要がある。