前編に引き続き、昨年の暮れのガートナーグループのDavid Cappuccio氏の今後5年のITにおける10大トレンドの後半にある、5項目について抄訳と解説を加えたい。

6.物のインターネット化(Internet of Things)

(抄訳):ID管理や、センサーやコミュニケーションの技術の急速な進化のお陰で、一般消費者が使っているデバイスを含め、多種多様な物のインターネットへの接続が加速している。

 鍵を握る特筆すべき技術は:

●組み込み型センサー:変更を知らせる事ができるセンサー(加速度、GPS、コンパス、カメラ)が携帯端末だけではなく、多種多様な場所と物への組み込みが加速している

●画像認識技術:画像認識技術は物、人、建物、場所、ブランドロゴ等々、消費者や企業にとって価値のある全ての物を認識する方向で動いている。主に産業用に使われてきたアプリケーションが、カメラ付きスマホやタブレットによって消費者向けの領域で広範に用途を広げている

●NFC(Near Field Communication=近距離無線通信)決済:NFCが組み込まれた携帯電話をNFCリーダーの前で振るだけで決算が出来る。鉄道、飛行機、ショッピング、医療等々で、NFCが効率と顧客サービスの向上を提供する。

(解説):これら3つの技術に加え、高度な音声認識(現在、ニュアンスコミニュケーションズ社がデファクトに近いようだ)と、NFCの範疇ではあるが特にRFIDも追加したい。

 これらの技術全てにとって、使用する個人、サービスを提供する組織を100%に近い精度で認識することが最大の関心事であるはずだ。いくら認識デバイスが多様化し、自動化率を上げたとしても、人、組織をアイデンティファイ(同定)する技術も同時に進化させないと大変なことになる。

 特に課金の精度、そしてプライバシーの死守には細心の注意が払われるべきだろう。このためにも、物のインターネットのログを緻密で漏れの無いようしっかりと集め、本人であるかを示す電子化されたアイデンティティと組織としてのアイデンティティとの瞬時における相関分析が必須となろう。

 SIEM(セキュリティ情報イベント管理:かつて私が在籍したArcSight社――現在HPに吸収――が手掛けていた)なしに語るべきではないと思う。この両方が成熟の域に達したとき、国民総背番号制を超え、究極のアイデンティティ管理が可能となるだろう。

7.アプライアンスを巡る混乱

(抄訳):決まったアプリケーションや機能を即使いたい組織にはアプライアンス(特定用途向け専用機器)が適している。しかし、使う時に追加の管理ソフト等の投資が必要な場合は敬遠される。よってこの分野で成功するためには、コスト効率の良いアプリソリューションを提供するのみならず、必要最低限の管理ツールを提供する必要がある。