1年制の「知財」大学院は
夜間と土曜の都心開講

 今回紹介するのは、知的財産に関する在京の大学院。夜間と土曜日に開講する「1年制」の通学課程である金沢工業大学大学院工学研究科知的創造システム専攻は、東京のど真ん中、虎ノ門で開講している。

 大学の名前は、「K.I.T.」のほうが既に知名度を得ているだろう。「教育付加価値」を掲げ、少子化の中で卓抜な大学経営の手本とも呼ばれる大学である。教育界だけでなく、数々の経済紙・ビジネス誌にも取り上げられた。北陸・金沢というローカルな立地にありながら、全国的に知られる学校だ。

 アルファベットのいささか気取った略称も、米国MIT(マサチューセッツ工科大学)内に共同研究所を持つことを知ればむしろ関心を呼ぶ。教育・研究・産学協同のバランスがとれた大学は、2004年に東京のキャンパスを開設した。

 現在置かれているのが「知的創造システム専攻」と「ビジネスアーキテクト専攻」。このうち2004年より開設されている「知的創造システム専攻」は、知的財産を専門とする大学院修士課程だ。『知的財産プロフェショナルコース』キャンパス開設以来の看板コース(2009年からは『国際標準化戦略プロフェショナルコース』を新設)である。

 しかもこの大学院修士課程は、1年制なのである。注目のジャンルの学位を最短の期間で取得できる大学院は、社会人のニーズをピンポイントでとらえている。理系と文系が交錯する「知財の知」をカバーしうる文理融合型の大学院は、「知的成果を生み出す力、実際にアイデアを具体化する力、その技術を運営・保護することのできる力を総合的に養成」するとしている。

 修了要件は40単位以上修得に加え、修士の学位論文(ポートフォリオ型)の審査および最終試験合格。このポートフォリオ型の学位論文につなげる教育方法が、文部科学省の公募事業「大学院教育改革支援プログラム(平成19年度)」にも採択された、極めて巧みなシステムである。1年間の学修の成果を端的な成果に仕上げる一方で、それはリサーチペーパーではなく、学位論文。研究の内容と成果が明確になる論文提出の制度は、1年制ながら弁理士試験の選択科目免除(工業所有権審議会が行なう、修士論文の内容による個別の弁理士試験選択科目免除の可否審査)の実績に繋がっている。