3期連続赤字回避に必死の東電
切り札は柏崎刈羽原発の再稼働

 8月13日付け日本経済新聞ネット記事などマスコミ各社の報道によると、東京電力・柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)の運転停止が続いた場合、東電が2014年3月期の経常黒字を達成するには、14年1月に8.5~10%程度の電気料金再値上げが必要になるとの試算を、東電が金融機関に示したとのことである。

 東電は12年4月に企業向けを平均14.9%値上げし、同9月に家庭向けを8.46%値上げしており、再値上げに関して実際にどうなるかは全く予断を許さない。

 しかし、記事にもある通り、東電は12年5月の総合特別事業計画で14年3月期の経常黒字を見通しているが、経常赤字になれば3期連続となって金融機関が資金を引き上げてしまう可能性がある。

 東電がまず稼働させたいと考えているのは、柏崎刈羽原発6・7号機のようだ。報道によると、柏崎刈羽原発の停止が続けば、14年3学期の経常損益は8.5%の再値上げで均衡し、10%の料金再値上げで300億円程度の経常黒字となる。柏崎刈羽原発の停止が15年3月期まで続いても、8.5~10%の料金再値上げで2100~2300億円の経常黒字になるようだ。

 ところが、柏崎刈羽原発の再稼働に関しては、泉田裕彦・新潟県知事の反対で見通しはまったく立っていない。

火力発電所の計画外稼働で
約8500億円もの追加負担

 そんな状況も手伝ってか、東電については破綻処理論が叫ばれる場面が今でもしばしばある。しかし現実的に考えれば、1兆円の公的資金が注入された東電を政府が破綻処理することはおよそ考えにくい。

 12年の料金値上げは、柏崎刈羽原発などが稼働できないことに伴う火力発電所の計画外稼働に要する、追加化石燃料費の負担のためであった。