橘玲の日々刻々 2013年8月27日

これからもずっと続く
日本の“居心地の悪い夏”
[橘玲の日々刻々]

 その後の日本の政治は、米国の核の傘の下、国民に経済成長の果実をばらまきながら、戦争責任の問題を棚上げするという低姿勢で現実的なものでした。戦争体験者が有権者の過半を占めるなかで戦前のような権威を振りかざせば、国民から総すかんを食うことは明らかだったからです。

 その後時代は移り変わり、“奇跡”と呼ばれた経済成長も終わりました。いまでは政府の役割は、年金や医療保険制度などの負の遺産を国民に分配することです。戦後賠償によってつながっていた近隣諸国との関係も、アジアの成長と賠償の終了によって大きく変わり、中国や韓国は日本に対し対等の立場で謝罪と反省を求めるようになりました。それに呼応するように、グロテスクなヘイトスピーチを叫ぶ集団が日本各地に現われるようになったのです。

 国家としてのアイデンティティを取り戻すもっとも安直な方法は、大東亜戦争を“民族自決の聖戦”として再定義することですが、これでは国際社会で生きていけません。かといって戦前を全否定するだけでは、中韓からの批判にただ頭を垂れて押し黙ることしかできません。

 このようにして私たちは、ふたたび1945年の暑い夏の日に引き戻されることになりました。どれほど目を背けても、「戦争責任」は戦後日本の歴史に亡霊のようにまとわりついてくるのです。

 仮に憲法を改正したとしても、国家の威信を取り戻すことはできません。“居心地の悪い夏”は、来年も、その次の年も、これからずっと続くことになるでしょう。

『週刊プレイボーイ』2013年8月19日発売号に掲載
 


『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル 』



作家・橘玲が贈る、生き残りのための資産運用法!


アベノミクスはその端緒となるのか!? 大胆な金融緩和→国債価格の下落で金利上昇→円安とインフレが進行→国家債務の膨張→財政破綻(国家破産)…。そう遠くない未来に起きるかもしれない日本の"最悪のシナリオ"。その時、私たちはどうなってしまうのか? どうやって資産を生活を守っていくべきなのか? 不確実な未来に対処するため、すべての日本人に向けて書かれた全く新しい資産防衛の処方箋。

★Amazonでのお求めはコチラをクリック!

★楽天でのお求めはコチラをクリック!

 <執筆・ 橘 玲(たちばな あきら)>

作家。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。「新世紀の資本論」と評された『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ベストセラーに。著書に『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 究極の資産運用編』『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 至高の銀行・証券編』(以上ダイヤモンド社)などがある。ザイ・オンラインとの共同サイト『橘玲の海外投資の歩き方』にて、お金、投資についての考え方を連載中。

海外投資必勝マニュアル&本

海外投資のノウハウが凝縮! ここで紹介しているコンテンツ、書籍はすべて、ネットから購入が可能です。さらに「海外投資実践マニュアル」は「海外投資を楽しむ会」の会員になれば割引価格で購入可能です。

作家・橘玲のディープなメルマガ
発売即重版決定! 橘玲の最新刊【幸福の「資本」論】発売!
橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
橘玲×ZAiONLINE海外投資の歩き方
作家・橘玲がメルマガ配信を開始!
subcolumn下影

ページのトップに戻る

本WEBサイトに掲載している全ての記事およびデータについて、その情報源の正確性・確実性・適時性を保証したものではありません。本サイトの提供情報を利用することで被った被害について、当社および情報提供元は一切の責任を負いませ ん。万一、本サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社および情報提供元は一切責任を負いません。本サイトからアクセス可能な、第三者が運営するサイトのアドレスおよび掲載内容の正確性についても保証するものではなく、このような第三者サイトの利用による損害について、当社は一切責任を負いません。また、併せて下段の「プライバシーポリシー・著作権」もご確認ください。