悪夢のリーマンショックから5年、
世界経済は本当に蘇ったのか?

 2008年9月15日、米国の大手投資銀行であったリーマン・ブラザーズが破綻した。世界最大の倒産劇として、間違いなく歴史の1ページを飾る出来事だった。リーマンの破綻をきっかけに、世界経済は大幅な落ち込みを経験した。

 一時は、1920年代の大恐慌が再びやって来るとの見方があった。しかしその後、米国や欧州、わが国さらには中国までもが積極的な経済対策を打って、何とか世界経済が奈落の底に沈むことは回避された。

 現在、リーマンショックの発祥地である米国は、ようやく不動産バブルの後始末に目途が立ち、今月のFRBでQE3(超金融緩和策)を縮小できるというところまでこぎつけた。

 一方、ユーロ圏諸国の中には、依然としてバブルの後始末に目途が立っていない国もある。ギリシャには、今後も追加支援策が必要になるとの見方もある。

 リーマンショックで米国経済が沈んだ後、4兆元(約60兆円)の大規模な景気対策で経済を押し上げた中国は、その後の約3年間、米国に代わって世界経済を牽引した。

 しかしその中国も、大規模な景気対策による供給能力の積極的な拡張のマイナス面が顕在化しており、過大な供給能力に悩みながら、国内消費主導の経済へとモデルチェンジを図っている。世界第2位の経済大国のモデルチェンジは、容易ではない。時間がかかるだろう。

 わが国は1980年代後半のバブルの学習効果もあり、2000年代の世界的な不動産バブルにまみれることは免れた。しかし、人口減少や少子高齢化、さらには産業の地番沈下などで景気低迷が長期化した。

 約3年間の民主党政権が終わり、経済再生を目指す自民党政権に代わったこともあり、経済は少しずつ回復基調を歩み始めている。これから、わが国や世界の経済は、どのような方向に向かって進んでいくのだろう。