昨年8月10日、第180回国会で、「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案」が成立した。そして、同法案第2条で、来年4月1日から消費税率8%への引き上げが、第3条で、再来年10月1日から10%への引き上げが明記された。即ち、法律的に述べれば、消費税の増税は既に決定済みなのである。但し、同法附則第18条で、消費税率の引き上げに当たっての措置が定められた。そこには次のように書かれている。

○消費税率の引上げに当たっての措置(附則第 18 条)

・消費税率の引上げに当たっては、経済状況を好転させることを条件として実施するため、物価が持続的に下落する状況からの脱却及び経済の活性化に向けて、平成 23 年度から平成 32 年度までの平均において名目の経済成長率で3%程度かつ実質の経済成長率で2%程度を目指した望ましい経済成長の在り方に早期に近づけるための総合的な施策の実施その他の必要な措置を講ずる。

・この法律の公布後、消費税率の引上げに当たっての経済状況の判断を行うとともに、経済財政状況の激変にも柔軟に対応する観点から、第2条及び第3条に規定する消費税率の引上げに係る改正規定のそれぞれの施行前に、経済状況の好転について、名目及び実質の経済成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認し、前項の措置を踏まえつつ、経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる。

 つまり、現在は、経済状況の好転について経済指標を確認し、経済状況等を総合的に勘案した上で、来年4月からの引き上げについて、政府の意思決定を待っている局面なのである。

経済諸指標は順調に推移

 それでは、わが国の直近の経済指標を確認してみよう。2013年4-6月期の名目成長率は3.7%(1-3月期は2.6%)。実質成長率は、3.8%(1-3月期は4.1%)と、いずれも順調であった。次に物価を見ると、7月の全国消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品を除く総合指数が前年同月比0.7%上昇と、4年8ヵ月ぶりの高い伸びを示した。