北京オリンピックが閉幕した。

 日本選手が獲得したメダルは金9・銀6・銅10の計25個。アテネ大会の37個(金16・銀9・銅12)には遠く及ばないし、大会前に福田富昭日本選手団長が掲げた「金メダル2桁、メダル総数30個以上が最低ライン」の目標にも達しなかった。が、思ったほど、国内に失望感はあまりないように感じる。

 これはイメージもあるだろう。開幕から閉幕まで、日本選手はほぼ毎日メダルを獲得した。前半は柔道、体操、水泳、後半はレスリング、そして閉幕直前にはソフトボールの金メダル、陸上競技・男子4×100mリレーの銅メダル獲得があった。日本はボールゲームで好成績を残せなくなって久しい。そのため、前半の競技ではメダルを順調に獲るが、後半は尻すぼみになる傾向があった。しかし今回はソフトボールとリレーのメダル獲得があったことで、見る側に「よくやった感」が残ったといえる。

 加えてこの2種目にはドラマがあった。

肉体的ハンデを乗り越え、
総力戦で勝利したソフトと男子リレー

 ソフトボールではエース・上野由岐子が2日間で3試合、28回409球を投げ抜く超人的な頑張りがあった。野手もメダルを争ったアメリカ、オーストラリアの選手に比べれば小柄で非力。どう見ても勝ち目はない。だが、思いのこもったプレーを見せ、世界の頂点まで上り詰めた。この激闘を見てソフトボールの面白さに目覚めた人も多いだろう。

 帰国した選手たちは、それぞれが所属する日本女子1部リーグの実業団チームに戻る。これからは敵と味方に分かれて戦うのだ(日本リーグには日本と3位決定戦で戦ったオーストラリアの選手もいる)。リーグ戦が再開するのは9月6日。試合が組まれているのは土日で日本各地を転戦する【日程は日本ソフトボール協会のホームページを参照】。会場となる球場には観客が押し寄せるに違いない。

 一方、陸上4×100mリレーは実力上位のアメリカとイギリスがバトンミスを犯し、予選で消えるという幸運もあった。が、運だけではメダルは獲れない。